来訪者
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「夢かよっっ!!」
読み始めて十分くらいした時に後ろから大声がしてあたしは普段本は読まないからそれで集中が切れてしまった。後ろから蘭がうるさいと言う声も聞こえた。
「ごめんなさい」
そしたらしぼれた声で謝る声がする。びっくりしたけど素直に謝ったから蘭もそれ以上何も言わなかった。
………えーと次のページは………あった!後ろの席に、ちょっと拝借。
水瀬君と木崎君が話している横で続きを読む。
………………あれ?
「なぁんだ、夢だったんだ、なんか残念」
美咲お姉ちゃんと同じ名前の登場人物が出てきたから気になったけど、あんまり登場しなかったな。
「というかなんで水瀬さんも読んでるの?」
木崎君は何をいまさら言っているのやら。
「隣の席と後ろの席の人が朝から自作の小説の話ばっかりするから、気になって水瀬君に読ましてもらったの。そしたら中々面白くてね」
そう言った直後に木崎君はこの世の終わりみたいな表情をする。
なんでショックを受けてるのかな?
「ふん、これが一般的な意見という事だなキサキ君」
隣の席で水瀬君がふんぞり返って言いました。やっぱり変わってるなぁ。
その言葉を受けた木崎君は頭を抱えそうなくらい難しい顔をしている。あたしが面白いって言っただけなのに何をそこまで思いつめているのかな?
「……どうせ万人受けしないさ……」
さっき以上にしぼれた声でした。
「なんでそんな事言うの?ふみ君」
するといつの間にかあたしの横に見慣れない(当たり前か)女の子が立っていました。後で聞いたのですが彼女は月村依都子という名前でした。
「依都子ちゃんまで……」
月村さんは幽霊の貞子みたいな長髪をしていて失礼だけど少し不気味な感じがする。そんな子がわざわざ話に加わってくるなんて少し意外だった。
まぁ今はそんな事より
「ええと、木崎君…だっけ、君ってなんか偏見が強くてガンコだよね」
名前が実はうろ覚えで自信が無かったから変な言い方になった。けど雰囲気が伝わるようにふぅやれやれといった感じで溜息をついた。
「もういいや、だったらもう読まないさ」
うわぁ……拗ねた〜
「ふみ君って昔からこうだから、私のすすめる本もあんまり読んでくれないし」
……人の本のセンスにケチつけてることより月村さんと木崎君がそこそこ仲がいいことの方が気になるなぁ。
それについては納得できない事があるのか木崎君は勢いよく立ち上がる。
「ちょっと待てや、よんで数ページ目からのセリフが『お兄様、お兄様、お兄様』ってひたすら連呼する本(夢野久作著 ドグラ・マグラ)なんて読めるか!実際に妹がいるんだぞ!嫌な想像しちまうじゃねぇか!!」※ドグラ・マグラファンの方、再度申し訳ございません。
クラス中に響くほどの大声で木崎君は叫
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