来訪者
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にマナーモードで携帯電話を入れてたんだった。
取り出すとバッテリーが一本になっていたけど三分くらいなら大丈夫ね、肝心のアンテナも二本立ってる。
「えっと、お父さんの番号は……」
最近登録したばかりのお父さんの番号を探した。
「ねぇそこの君、転校してきたばかりの杵島って子知らない?」
携帯電話の操作が聞き慣れない声で中断された。
「……だれ?」
目の前には見知らぬ、どこか分からない高校の制服を着ている青年が立ってあたしを真っ直ぐ見ていた。
ここは町外れのあぜ道で、人通りなんて無い。
意味も無く緊張して、落ち着かない。
「僕は大樹…峰岸大樹、杵島一美ちゃんを探してるんだ、僕は彼女の血縁でね、今日会う約束をしていたんだけど、見つからなくて」
何それ?あたし知らない………この人、何?
それに、大樹って………
「君と同じ学校に転校してきた子なんだけど、知らないかな?」
「知りませんね、あたしと別の学年の人だと思います」
あたしを探しているくせにあたしの顔を知らないあからさまに怪しい人に自分がその杵島一美だとは名乗る気は無かった。
「へぇ、確か繰賀中学校はクラスが三学年で六クラスの小さい学校だよね、他学年でも噂くらい聞いているんじゃない?」
何この人…しつこい。
「知らないって…言ってるでしょ」
「…ごめんね、疑ったつもりは無いんだけど、失礼したね」
彼はそう言うとあたしに軽く会釈し、通り過ぎて行った。
彼が曲がり角を曲がって姿が見えなくなったことを確認すると、一息ついた。なんなんだろうあの人、愛想はよかったけど何かを隠しているような目をしていた。それに大樹って名前、偶然…なのかな。今日会ったばかりの水瀬君が書いた小説の主人公と同じ名前だし。というか何であたしを探しているの?
あたしは持っていた携帯電話を操作して電話帳を開き名前を探す、今朝登録したばかりの……
「蘭、お願いがあるの、水瀬君の居場所分かる?」
この時、小説の登場人物と同じ名前の人が現れてあたしを探しているという不気味な事を解決する何かを水瀬君が知っていると直感していた。
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