第二部
第一章 〜暗雲〜
九十五 〜猛将たち〜
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み全てが露見した訳ではない。迅速に事を運ばねばなるまい」
「宮中にさえ入れれば、後はやりようがありますよー」
と、風。
「よし。ならば星の帰還を待ち、行動する。宮中には可能な限り、敵を入れるな」
「御意!」
半刻後。
「主、お待たせしました」
星と共に、何進が姿を見せた。
「久しぶりだな、土方」
「は。……だいぶ、お窶れになりましたな」
髪には白いものが混じり、眉間には皺が増えていた。
それに、見事な体躯が見る影もなくやせ衰えている。
「どうにか生き存えているが、そろそろ俺の役目も終わりのようだな」
「何進! そのような事を申すでない!」
協皇子の言葉に、何進は弱々しく頭を振る。
「いえ。愚妹のやった事とは言え、止められなかった責任から逃れるつもりはありません。それに」
何進は私を見遣って、
「白兎(董旻)にも可哀想な事をしました。……土方、すまん」
「いえ。白兎も何進殿への恨み言一つなく、逝ったのでござる。お気になさいますな」
「……そうか。だが、せめてもの償いだ。俺にも手伝わせて貰いたい」
「はっ、是非にも」
僅かばかりだが、何進の顔に生気が戻ったようだ。
「では、何進、土方、盧植が共に参るのじゃな?」
「いえ。殿下は此所に残っていただきたいのでござる」
「何故じゃ!」
血相を変えて、協皇子は私に詰め寄った。
「宮中で何が待ち構えているかわかりませぬ。御身は掛け替えのないもの、この場にてお待ち下され」
「土方、私を案じてくれるのは嬉しい。だが、宮中を自在に動き回るのであれば、私がいた方が何かと都合が良かろう?」
「いえ。恐れながら、殿下をも害し奉る事を企んでいるやも知れませぬ。此所であれば、我が軍が指一本触れさせませぬ」
「嫌じゃ! 盧植、何進!」
縋るように、協皇子は二人を見た。
「申し訳ありませぬ。土方殿が仰せの通りかと」
「土方の言、最もです。この場にてお待ち下され」
「……私は、足手まといにしかならぬと申すか?」
「殿下。先般にも申し上げた筈です、もっとご自身を大切になされませ」
「…………」
口惜しげな協皇子。
「盧植殿。殿下をお頼み申しますぞ」
「お任せあれ。さ、殿下彼方へ」
「彩、鈴々。お二方を頼むぞ?」
「はい!」
「合点なのだ!」
あの二人がいれば、何者も手出しは叶うまい。
「では土方。ぐずぐずしている暇はなかろう、行くぞ」
「はっ!」
「お、お待ち下さい! まさか、お二人だけで行かれるおつもりですか?」
慌てて、愛紗が立ちはだかった。
「如何に非常時とは申せ、宮中に無位無冠の者が濫りに入る事は許されぬ。何進殿と私だけで参るしかあるまい」
「危険です! 何と仰ろうとも、それだけは認められません!」
「愛紗の
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