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遊戯王GX ~Unknown・Our Heresy~
第2話 入学式とアカデミアの洗礼
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に揺られながら、俺は茫然と海を見詰めていた。
「なぁ、雪鷹」
俺の隣で手摺に凭れかかっている直哉が話しかけてきた。
「ん?」
俺はそんな直哉に目を向けず、海を見詰めたまま返事をした。
俺たちが今乗っている船は、デュエルアカデミア行きの客船。
合格通知が届いた俺たちは、各々に荷物を用意し学園が指定した日時に港に向かった。
そこには、合格者と思われる受験生たちが何人もいた。
その中には、周りの雰囲気に気圧されおどおどしている水色の髪の丸眼鏡をかけた少年や、よく見なければ分からない、周りの雰囲気と同化してしまっている少年、これから向かうデュエルアカデミアに希望を抱きワクワクしている活発そうな少年の姿が人の群れの中にちらほらと見える。
集まった俺たちを含む合格者たちは、学園関係者の先導に従い、用意されていた客船に乗り込んだ。
そして今、俺たちはデュエルアカデミアに向けた船出を楽しんでいる最中だ。
「あのシンクロ使った子、どう思う?」
直哉の言葉に俺はあの時見た彼女の姿を思い浮かべた。
「さぁ、分からない。ただ、観世音が関わっているのは、間違いなさそうだな」
その言葉に、直哉は掴んでいた手摺を力強く握りしめた。
俺たちは未だに観世音と名乗った女の素性を掴めていない。
まぁ、人間2人を簡単にフィクションの世界に送り込めるほどだから、ただの人間である俺たちていどに、そう簡単に素性が掴めるはずもないか。
観世音。
転生する前の俺は神や仏、空想上の生物などを調べる事が好きだった。
過去に俺が調べた仏の中に、その名前はあった。
観世音は観世音菩薩と呼ばれ、一般的には観音さまや観音菩薩として広く親しまれている菩薩だ。
ある諸説では、様々な苦しみにあっている衆生が観世音菩薩の名を唱えれば、その声を聞き取りあらゆる苦しみから救い出してくれると説かれていた。
その言葉に俺は乾いた笑みを零した。
俺たちが見た観世音は、そんな優しいものじゃなかった。
状況の急転に混乱していた俺たちを嘲笑い、反論する俺たちを強制的に黙らせた。
俺たちに娯楽道具になれと、菩薩に有るまじき言動。
どう見てもアイツは悪魔だ。
「あの子も、観世音に送り込まれてきたのかな?」
俺の言葉に直哉は少し考える素振りを見せた。
「どうだろうな。今の段階だと何も言えない。でも、その可能性は今のところ高いな」
直哉も俺と同じ意見の様だ。
俺たちはアイツが何を企んでいるのか全く分からない。
でも、あの子が俺たちと全くの無関係とは思えない。
「ん? おい見えてきたぞ」
直哉の言葉に、俺は海を見詰めるのを止め、船の進行方向に顔を向けた
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