戦場のプリンセス
[3/4]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
じゃねーからな」
「何よそれ・・・」
エリーシャは黙り込んでしまった。そしてシオンはそんなエリーシャにこう言った。
「わりーけど、降参してくんねーか?ゲームの中とはいえ、人を斬るのは少しばかり気が引けるからな」
「・・・」
エリーシャは俯いたまま答えないままだった。
「・・・そうか、ならこうさせてもらおうか、な!」
シオンはそう言ってエリーシャの剣を持っていた右手を掴み、その剣を自分に突き刺した。
エリーシャはもちろん、会場にいた観客までもがどよめいた。
「グッ!やっぱし痛てーなー・・・」
「なに・・・してるの?」
「何って、決まってんだろ。もう面倒だから終わらせんだよ。お前がこうなっちまったらテコでも動かんから、な!」
シオンは自分に突き刺した剣を引き抜いた。
その時点でシオンのHPがある程度のところまで減少し、勝負はエリーシャの勝利という形で終わった。
普通なら歓声が湧くはずの会場が今は静まり返っていた。
「良かったなエリーシャ、お前の勝ちだ」
「・・・こんなの」
「あっ?」
「こんなの勝ちじゃない!ホントだったらあなたが勝っていたのよ!」
エリーシャは目に涙を溜めてシオンに訴えてきた。シオンは頭をかきながら言う。
「まあ、そうかもな」
「じゃあ何で!」
シオンは少しばかり黙ってすぐに答えた。
「確かに、違う相手だったらあのまま勝負をつけてたよ。だが、あん時お前が相手だと知って俺はプランを変更した」
「プラン?」
「ああ、当初のプランが相手をフルボッコにするとして、俺が変更したプランは・・・」
シオンはエリーシャの顔を見て微笑んだ。
「お前がどれだけ成長したか確認すること」
「えっ?」
「よく、ここまで頑張ってきたな“エリー"」
そう言ってシオンはエリーシャの頭の上に手をポンポンとおき、退場した。
ヒースクリフはシオンに、
「よかったのかね?」
「ああ、弟子の成長を見れただけで俺は満足だよ」
その時シオンの顔は、本当に満足げだった。
「そうか」
「ああ、んじゃーな♪」
シオンはそのまま出入り口へと歩き出した。その出入り口には、キリトとアスナがいた。
「シオン君・・・」
「わり、負けちった!」
いつものシオンの顔にキリトとアスナは苦笑した。
「まったく、お前らしーよ」
「そうね」
「ほら、さっさと帰ろーぜ!明日から忙しくなるぞ!」
そう言ってシオンは再び歩き出しだ。その姿を見ていたエリーシャは、先程シオンが手をおいた頭に手を乗せて、少し紅くなりながら考えていた。
『よく、ここまで頑張ってきたな“エリー"』
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ