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ソードアート・オンライン 〜白の剣士〜
戦場のプリンセス
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じゃねーからな」

「何よそれ・・・」

エリーシャは黙り込んでしまった。そしてシオンはそんなエリーシャにこう言った。

「わりーけど、降参してくんねーか?ゲームの中とはいえ、人を斬るのは少しばかり気が引けるからな」

「・・・」

エリーシャは俯いたまま答えないままだった。

「・・・そうか、ならこうさせてもらおうか、な!」

シオンはそう言ってエリーシャの剣を持っていた右手を掴み、その剣を自分に突き刺した。
エリーシャはもちろん、会場にいた観客までもがどよめいた。

「グッ!やっぱし痛てーなー・・・」

「なに・・・してるの?」

「何って、決まってんだろ。もう面倒だから終わらせんだよ。お前がこうなっちまったらテコでも動かんから、な!」

シオンは自分に突き刺した剣を引き抜いた。
その時点でシオンのHPがある程度のところまで減少し、勝負はエリーシャの勝利という形で終わった。
普通なら歓声が湧くはずの会場が今は静まり返っていた。

「良かったなエリーシャ、お前の勝ちだ」

「・・・こんなの」

「あっ?」

「こんなの勝ちじゃない!ホントだったらあなたが勝っていたのよ!」

エリーシャは目に涙を溜めてシオンに訴えてきた。シオンは頭をかきながら言う。

「まあ、そうかもな」

「じゃあ何で!」

シオンは少しばかり黙ってすぐに答えた。

「確かに、違う相手だったらあのまま勝負をつけてたよ。だが、あん時お前が相手だと知って俺はプランを変更した」

「プラン?」

「ああ、当初のプランが相手をフルボッコにするとして、俺が変更したプランは・・・」

シオンはエリーシャの顔を見て微笑んだ。

「お前がどれだけ成長したか確認すること」

「えっ?」

「よく、ここまで頑張ってきたな“エリー"」

そう言ってシオンはエリーシャの頭の上に手をポンポンとおき、退場した。
ヒースクリフはシオンに、

「よかったのかね?」

「ああ、弟子の成長を見れただけで俺は満足だよ」

その時シオンの顔は、本当に満足げだった。

「そうか」

「ああ、んじゃーな♪」

シオンはそのまま出入り口へと歩き出した。その出入り口には、キリトとアスナがいた。

「シオン君・・・」

「わり、負けちった!」

いつものシオンの顔にキリトとアスナは苦笑した。

「まったく、お前らしーよ」

「そうね」

「ほら、さっさと帰ろーぜ!明日から忙しくなるぞ!」

そう言ってシオンは再び歩き出しだ。その姿を見ていたエリーシャは、先程シオンが手をおいた頭に手を乗せて、少し紅くなりながら考えていた。

『よく、ここまで頑張ってきたな“エリー"』

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