第39話 ゲームは一日一時間って言うけど、実際守ってる奴って居ないよね?
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一箱手に取り、それをニュースキャスターに見せた。
そのマッチと言うのが、明らかに何所かのスナックやキャバクラで貰えるような安いマッチであった。
それを売ろうとしているのだから子供とは言え性質が悪い。
「あの、折角だけど、これは貰えないわ」
「そう、ですか―――」
ニュースキャスターがマッチの受け取りを断ると、少女は更に元気を失くした顔をして肩を落としてしまった。
たかがマッチだけで何故こんなに肩を落とすのだろうか。
ニュースキャスターは少し気になった。仕事柄色々な事に首を突っ込んできた彼女だ。ことの詰まり、ニュースキャスターとは言ってしまえば覗き屋の一種とも言えると思われる。
「えっと、お嬢ちゃん……何で、そんな物を売ってるの?」
「知りたいんですか? お姉さん」
さっきまで生気がない顔だったままで少女が見上げる。思わず生唾を飲み込むキャスター。
その時、少女は動いた。
「それじゃ、マイク貸して貰えませんか? 後カメラも回して下さい。あ、ライトは右斜め45度でお願いしますね。そうした方が悲壮感出ますんで」
「え? 何この子。どんだけ図々しいの?」
先ほどまでの生気の篭ってない声とは裏腹に、結構要求が図々しかったりしている。まぁ、事情を知りたいと言う思いもあるので仕方なく言われた通りにマイクを用意し、カメラを回し、ライトも要求通り右斜め45度から照らして悲壮感を露になるようにした。
「私の家族は、母、姉、父親の三人家族でした。ですが、母と姉が流行り病に係り呆気なく亡くなってしまいました。それから私の父は流行に乗ってDVに目覚めてしまい、そのせいで私は日々父の虐待に耐える毎日を送ってるんです」
大粒の涙を流しながらさめざめと語る少女。照らされてるライトが更に悲壮感を煽り立てている。気がつけば、回りで並んでいた客達もそれに煽られて涙を流す始末であった。
「今もこうしている間に、私の父は飲んだ暮れの毎日を送り、酔っ払っては私を苛め続けるんです……こんな風に」
そう言ってこれまた何所から持って来たのか今は古きブラウン管のテレビを其処に置き、リモコンで電源を入れる。
電源が入る音と同時に映像が映し出される。
其処に映っていたのは銀髪の父親と思われる人物とその人物に苛められている例の少女の姿が映っていた。
【てめぇクソガキ! 最近稼ぎが全然ねぇじゃねぇか! ちゃんと働いてんのかぁ? あぁ!?】
【御免なさい! でも、私みたいな子供を雇ってくれるところなんてないから、それでも私一生懸命働いてるんだよぉ】
【てめぇの言い分なんざどうでも良いんだよ! こちとらキャバクラの明海ちゃん落とす為に金要るんだよ! 分かったらさっさと其処に余ってるマッチ売り払って来い! 二束
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