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駄目親父としっかり娘の珍道中
第38話 住みたきゃ働け! 働きたきゃ服を着ろ!
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ゃねぇよ」
「んじゃ何所に連れてけば良いんだよ。まさかあいつ等を公園のベンチの上で寝かせようって腹かぁ? 天下の真選組が聞いて呆れるねぇ」

 銀時の言葉が土方の心を深く穿った。彼の脳裏にあるビジョンが浮かび上がる。
 それは、真夜中の公園である。
 時期的に恐らく真冬。木枯らしが吹き荒び、身も凍る程の寒さの中、はやてと四人の守護騎士達は互いにダンボールを羽織り必死に寒さと飢えに耐えながらその日一日を過ごす過酷な生活を強いられていた。

【主、大丈夫ですか?】
【だ、大丈夫や。こんなんへっちゃらや! でも、何だかお花畑が見えてきたわ〜】
【い、いけません、主! 其処へ行っては二度と戻ってはこれませんよぉ!】
【はやてちゃん、意識をしっかり持って! 寝ちゃ駄目よ! はやてちゃぁぁぁん!】

 騎士達が泣き叫ぶ中、八神はやてはその幼い障害を閉じるのであった。その原因となったのが。無情にも彼女等を押しのけた真選組にあるとは、誰も知らない事であり―――

「うわああああああああああああああ!」

 突如雄叫びを上げ、土方は頭の中に浮かんでいたビジョンを払い除けた。イメージすればするほど悲しい結末しか浮かんでこない。こんな結末にしてはいけない。その選択肢は今自分が握っている事を、改めて実感出来た。

「わ、分かった……近藤さんに相談してみる」
「ひ、土方さん、顔色が悪いですけど、何かあったんですか?」

 新八の目の前で、突如青ざめる土方の姿があった。さっきまでとは打って変わり、とても弱弱しく、儚げに見えるのであった。

「言っておくが、近藤さんが駄目って言ったら俺でもどうしようもねぇからな! そん時はお前等が自分であいつらの寝床を確保しておいてやれよ! 分かったな! 俺は全然関係ないからな!」
「何念を押してんだ? アイツ」

 何故、土方が必死になっているのか。理解に苦しむ万事屋ご一行なのであったりした。




     ***




「別に良いんじゃないか?」

 即OKであった。
 その言葉に、土方は半ば複雑な面持ちをしていた。

「いや、近藤さん。せめてもう少し悩む描写も入れてくれないか? 一応少し時間が経った後ってな事で上の方に【***】がついてるけどさぁ」
「まぁ、確かに家は見ての通り男所帯だ。だが別に女人禁制って訳じゃないぞ。寧ろ女でも来る者は拒まずだ」
「あっそう……」

 悩みも消え、安心した反面何所か釈然としない気持ちもまた、土方の中で渦巻いていた。
 あれだけ必死に自分の中で葛藤を描いていたと言うのに肝心の近藤は二つ返事でOKである。これって良いの? 本当にこれで良いのか?
 またしても自分の中で葛藤の描写を入れたくなってしまう土方でもあった。

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