第37話 願い事ってのは大概気がついたら叶っている
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はずっとその本を読みたかったようだ。期待に胸を膨らませる思いで、本を捲る銀時に視線が集中する。
分厚い表札ごと何ページが纏めて捲ってみた。だが、其処に映し出されたのは一面白紙のページであった。
何も書かれていない。文字も、絵も、何も書かれてないのだ。
「なんだこりゃ? 何も書いてねぇじゃねぇか」
「真っ白アル」
期待していた分これにはガッカリせざるを得ない。だが、其処へ新八の閃きが冴え渡る。
「これ、もしかして炙り出しで見れるんじゃないんですか?」
「炙り出し?」
「火とかに近づけるとページに文字が浮かび上がるって言う方法だよ」
「へぇ、なんだか面白そうだねぇ」
5人で話が進んでいく。だが、側から聞いてる守護騎士達は居た堪れない気持ちであった。
このままだとあの本を炙り出しする拍子に燃やされる危険性が高い。
何とかしなければならない。
(やべぇよ。あのままじゃあの馬鹿達闇の書燃やしちまうぞ! 何とかして取り返さねぇと)
(だが、主が近くに居る。下手な行為に出る訳にはいかんぞ)
本来なら万事屋メンバーをやっつけて闇の書を奪い返す筈なのだが、その近くには彼等が主と定めているはやてが居る。しかも、このはやてが妙に万事屋メンバーを気に入ってしまっているのだ。
迂闊に手出しが出来ない状況でもある。
「とりあえず、火を近づけてみましょうか」
そう言い、新八は懐からマッチを取り出し近づけてみる。何故マッチを持っていたかはこの際突っ込まないで貰いたい。
分厚い表札に火を近づける。
だが、一向に変化は見られない。
「あれ? おかしいなぁ」
「全然浮かび上がらないね」
「どうでも良いよんなこたぁよぉ。それよりこんだけ分厚いんだ。ちり紙交換に出せばそれなりにトイレットペーパーと交換してくれんじゃね?」
本で肩を叩きながら銀時が言う。確かにこれだけの分厚さだ。それなりの交換は期待できそうに思える。
(何考えてるんだあいつらはああああああああああ!)
よりによもって危険な代物でもあると言われている闇の書をちり紙交換に出そうなどと言っているのだ。これはかなり不味い展開になってきた。何とかしなければならない。
だが、どうする。どうすれば良い。
(皆、此処は私に任せて)
(シャマル、手があるのか?)
(要するにあれが危険な代物って事を分からせれば良いのよ。そうすればきっとあれを手放してくれる筈よ)
そう、無理に奪い返そうという考えがそもそもナンセンスだったのだ。要は彼等があの書を手放すように促せば良い話だ。
そう判断し、シャマルは五人に近づいていく。
「あの、ちょっと良いかしら?」
「あん?」
「実はね、その書はとても危険な代物な
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