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駄目親父としっかり娘の珍道中
第37話 願い事ってのは大概気がついたら叶っている
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もう良いから。いい加減止めろ。見てて痛いだけだ」
「ふ、ふざけるな! こうなれば飛べるまで何度も挑戦するだけだ! 騎士の誇りに掛けて、必ずや飛んでみせる!」
「気持ちは分かるが回りを見ろ。お前の事冷たい視線で見てる事に気づけっての!」

 銀時の言葉にシグナムは改めて回りを見回す。何時の間にか回りの人々の冷めた視線が自分に集中しているのに気付き、シグナムは穴があったら入りたい心境に変化している事に気付いた。
 最早、今の彼女に出来る事は、その場に蹲り黙り込む事しかなかったりする。

「おぉい、大丈夫アルかぁ?」
「関わらないでくれ。烈火の将と言われたこの私がこれほどまでに無様な醜態を晒してしまうとは。これでは守護騎士失格だ。いっそこの場で腹を切るしかこの恥を帳消しにする方法はない!」

 そう言い、持っていた刀を鞘から抜き放つ。どうやらそれで本当に腹を切るつもりなのだろう。

「待てシグナム! 早まるな」
「そうよシグナム! 貴方が死んだら私達も困るわ!」

 男性と金髪の女性が必死に止める。が、それでもシグナムが諦める気配は見受けられない。

「離せ! 同胞のよしみだ、此処は黙ってみててくれ! これ以上の醜態を晒すのは耐えられん。それよりも、潔く此処で死を選ぶのが騎士の道であろうが!」

 押さえ込む二人を振り払おうと必死になるシグナム。だが、そんなシグナムの頬に突如乾いた一撃が放たれた。俗に言う平手打ちである。
 それを食らったシグナムは自分を叩いた人物を見た。シグナムの目の前に居たのは、手を振り切っているなのはであった。その顔は少しばかり不機嫌そうであった。

「そうやって死に急ぐのは良くない事だよ。死んだら他の人が悲しむって事位分かる筈だよ!」
「子供の貴様に何が分かると言うのだ? 美しく最後を飾る。これこそが騎士として生きてきた者の勤めなのだ!」
「それは屁理屈だよ。美しく最後を飾る暇があるなら、最後まで美しく生きる。その方が断然言いに決まってるじゃない」
「最後まで、美しく生きる……」

 なのはの言葉に何故かシグナムは反応した。子供の戯言と吐き捨てれば済む話だろうが、何故かそれが出来なかったのだ。
 死ぬのは確かに簡単だろう。だが、それは困難な生から逃げる事に繋がる。騎士が目の前の困難に対して逃げ腰で良いのか? 嫌、良くない。
 そう悟ると、シグナムは刀を鞘に納め、ゆっくりと立ち上がった。

「感謝するぞ娘よ。私の過ちを正してくれた事に」
「お礼なんて良いよ。只私はお父さんから教わった事をそのまま言っただけだし」
「ふっ、父親か。よほど立派な武人なのだろう。いずれ手合わせしてみたいものだ」

 一言そう言い、シグナムは回りを見た。既に回りに人は居ない。とっくに方々に散ってしま
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