VS楯無
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「勝った気がしない。だろ?またはなんかもやもやしてる感じか?」
「両方ですわ」
弱弱しく答えるセシリアだがさらに言葉をつなげた。
「あの方……織斑さんはわたくしが見てきたどんな男性とも違いましたわ。特に最後の方はとくにですわ。あそこまでの攻撃をされてなお向かってくるなんて考えられませんでしたわ」
「確かにそうだな映像を見ても最初はお前が圧倒的有利だったのに最後の方は一夏に圧倒されてたしな」
蕎麦湯を飲み一息つきながらも響はセシリアをじっと見つめる。するとセシリアはポツリポツリと言葉をつむぎ話し始めた。
「わたくしの父はとても情けない方でしたわ。母もそんな父を鬱陶しく感じていたのかもしれません」
「なるほど……それでお前は男はみんなお前の親父さんみたいなもんだと思い込んじまうようになったわけか」
コクリと頷くセシリアだがその後もさらに言葉をつなげてゆく。響もそれにただ黙って耳を傾ける。
「ですがあの方は違いました。女性に一切媚びず引け目も感じないそんな強い瞳をした人でしたわ。……響さんの仰ったとおりでしたわ。わたくしの勝手な物差しで男性を見ることはいけないことだったんですのね」
「まぁそうだな。男の中にも強いやつはたくさんいる。だから一息に男はダメな生き物だということを決め付けるのは私は気に入らない。……でもそれがわかっただけいいじゃねーかわかんないまますごすよりは全然いいと思うぜ?」
ニカッと笑う響を顔を見てセシリアは若干顔を赤らめた。その様子に響が小首を傾げるがセシリアは黙ったままになってしまった。
「そういうことをわからせてくれた一夏に感謝だなセシリア。あとで礼言うなりわびるなりしとけよ?」
「はい。わかっていますわ。……ですがわたくしが一番感謝したいのはわたくしに男性を勝手な物差しで見るなということのきっかけを作ってくださった響さんに感謝したいですわ。――――本当にありがとうございました響さん」
深々と頭を下げるセシリアの頭を響は軽く撫でる。
「そんな気にすんなよセシリア。友達だろ?私達は」
微笑を浮かべながら言う響にセシリアは思わず涙が出そうになってしまったが何とかこらえた。なぜセシリアが涙を流してしまいそうになったかというと響のこの頭の撫で方がセシリアが幼い時母がやってくれたものとそっくりだったからだ。
その後も二人は語り合いながら夕食を楽しみその日は幕を閉じた。
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