崑崙の章
第10話 「ああ、また柱が!?」
[8/9]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
ないい飯を喰わない俺が言うのもなんだが、こんな美味い飯があるのに、北郷はなんで料理を作るなんて言い出したんだ?
そもそも面子を気にする漢の民。
本来ならば厳顔が主催する宴で城の料理人を差し置いて、素人が料理を用意するなんて、本当にどうかしている。
まあ、戯れにということで料理人たちには話してあるそうだが。
「なにがでてくるかわからんが……まあ、変なものが出てきたら俺の鍼で治してやるから安心しろ」
とりあえずそう言っておく。
正直、あんな材料でまともな料理が出来るとは思えないんだが。
薬膳料理かなにかなのだろうか?
あいつは天の御遣いだし、天の料理なのかもしれない。
「まっだかな〜、まっだかな〜?」
璃々という少女は、宴の料理を殆ど食べずに歌いながら待っている。
ふむ……いい子だな。
北郷が用意する料理がでてくるまで料理に手をつけないとは。
よほど黄忠の教育が行き届いているのだろう。
そうして俺は茶を飲みつつ、ちらっと横目を見る。
そこには、一人の女がいた。
あ、いや……女装した男かもしれんが。
「グスン……桔梗さま。ワタシは本当にこれ着たままでいないとだめなのですか?」
「やかましい。罰じゃ。今日一日はその格好でおれい」
そう言って泣きべそをかく女装?の人物。
厳顔はその者を魏延と言っていた。
その姿は……
「わたしとおそろいー!」
「ヒック……ううう……こんな赤子が着るような服を、なんでワタシが……」
そう。
今、魏延が着ているのは、璃々が着ている幼児服。
それを大きくしたようなものだ。
だが、その服も丈が短くて、下着が見えそうになっている。
それをモジモジと隠す姿は、やはり女性なのかもしれない。
「まったく、お主を盾二に紹介しようと思ったのだがな……帰ってきてすぐに厨房に入りおって。機会を逃したわ」
「まあ、いいじゃないの。どの道、ここで紹介できるわよ」
厳顔と黄忠がそう言ってちらっと魏延を見て――
「「ぷっ」」
「……しくしくしく」
笑いを堪える二人に、涙を流す魏延。
かわいそうに……いや、あんまり見ると俺も笑いがこみ上げるから見ないようにしているが。
「おねーちゃん、なかないなかない。よしよし……」
「ううううううううううううううう……」
プッ!
いかん、茶を噴出しそうになった。
「「ぷははははははははははははは!」」
酒を飲んでいる二人は盛大に笑っている。
お、俺も笑いたいが……
ギロッ!
あの目が俺だけ見ていて笑えない。
まあ、上司とその友人相手に睨むのは出来ないから俺なのだろうけど……
結構
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ