崑崙の章
第10話 「ああ、また柱が!?」
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あ……そ、それより璃々ちゃん。紫苑……お母さんとこいこうか」
そう言って璃々ちゃんを肩に乗せて歩き出す。
璃々ちゃんは「高い。たかーい!」とおおはしゃぎだ。
だが、俺はちょっと焦っていた。
璃々ちゃんを紫苑に預けて、この市場を駆け回りたくて。
(この市場……とんでもない。とんでもない……宝の山だ)
そう直感した理由は、手にある麻袋の中身。
それは……「土豆」、「洋芋」、「薯仔」などと呼ばれる食べ物。
近代においてはごく一般的ではあるが、本来この時代にはないもの。
「璃々ちゃん、今日の夜、ご飯を楽しみにしていてくれ」
「ふえ? 何が出るの?」
「ちょっとした珍しい料理を作ってあげるよ」
「なんだろー? そのまるっこいもの?」
「ああ……」
俺は、屋台を覗いている紫苑を見つけてニヤっと笑った。
―― 黄忠 side ――
市場でいろいろなものを物色しているわたくしに、慌てて璃々を押し付けた盾二様。
そのあと、風のように市場の奥へと向かいました。
「紫苑! 悪いけど璃々ちゃんとこれお願い! 先に城に戻っていて! あと、桔梗に厨房貸してくれって言っといて!」
そう言って瞬く間に……本当に風のように市場の中へと消えていきました。
わたくしと璃々は、市場を離れて近くの飲茶の店で一息をついています。
「それにしても……盾二様は一体どうしたの? 璃々」
「わたしもわかんなーい。でも、なんかきょうのごはんをたのしみにーっていってたよ?」
「あらあら……なにかいいものでも見つかったのかしら?」
わたくしは渡された麻袋の中身が気になり、ちょっとだけ覗いてみる。
その中身は――
「あら、これは土豆じゃない……こんなものを食べるの?」
「おかーさん。それなあに?」
「食べ物ではあるけど……ちょっと毒があるのよ。だいじょうぶなのかしら?」
名前と物自体はわたくしも知っている食べ物。
ただ、物によってはお腹を壊す為、あまり食用とはいいがたいかもしれない。
一度だけ焼いて食べてみたけれど、それほど美味しいものではなかった。
外側が黒焦げになってまで焼いても、中心は生という結果でした。
「盾二様のことだから、何か考えがあるんでしょうけど……」
「ふーん……あ、華佗のおじちゃんだ!」
璃々が指差して見る方向。
そこには大量の麻袋を担いだ華佗さんがいた。
「あらあら……いっぱい買ったのね。どうするのかしら?」
「おじちゃーん! こっちー!」
「俺は、おじちゃんじゃない!」
華佗さんは、麻袋を担ぎながらわたくしと璃々のいる席までやってく
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