崑崙の章
第10話 「ああ、また柱が!?」
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処理を行うということで、俺と紫苑、璃々ちゃんに華佗は、共に市場を散策することにしたのだ。
「わたくしは二度目ですけど、この巴郡の賑わいはいつも圧倒されますわ。人々に活気があっていいことです」
「ああ。俺も何度かここには来たが、見たこともない薬草なんかが、たまに手に入るから助かっている」
紫苑、そして華佗も周辺を見ながら口をそろえて同意する。
……やはり、この巴郡。
外部には、意図的に情報を隠されている可能性が高いな。
「いろいろ面白いものが手に入るかもしれないな……ちょっと見て回ろうか」
「さんせー!」
俺の言葉に璃々ちゃんがにぱっ、と笑う。
……なんか小さい妹ができたみたいで、少しこそばゆい。
「ふふっ、璃々ったらはしゃいじゃって……」
紫苑が、口元を押さえて微笑む。
華佗はすでに周辺の屋台や物売りの物色をしていた。
俺達はまず、主に食料品を扱う店を見て回った。
華佗が欲する薬関係なども、医食同源の大陸では重要な役割をもつ。
この時代の薬は基本食べられるものから生まれるのだ。
「……ん?」
俺は、ふと屋台の商品を見て立ち止まる。
こ、これは……
「おにーちゃん、どうしたの?」
「……おいおい、まさか……」
「????」
璃々ちゃんが珍しいものを見る目で俺を見る。
だが、俺はそれどころじゃなかった。
なんで……なんでこれがあるんだよ!?
「お、おおおおおお、おっちゃん! こ、これ……」
「はい? ああ、一つ二十銭ね。いくついる?」
……………………まさかとは思ったが、手にとって確信した。
この丸みを帯びたボールのようなもの。
所々に、ぼこぼことしたくぼみがあり、砂っぽい土がこびりついている。
間違いない……ほんとに。
「…………とりあえず十個ほどくれないか」
「あいよ。まいどー」
そう言って麻袋に詰めていく親父。
「……なあ、おっちゃんはこの商品、いつも仕入れているのか?」
「ん? ああ、こいつは冷暗所に保存すれば日持ちもするしな。ただ、毒もあるからあんまり売れないのさ」
「……ちなみにこれ、なんて名前?」
「は? 名前も知らないで買ったのか? 土豆だよ。土豆」
………………まちがいねえ。
「もう少しすれば収穫したてのやつが手に入るぜ? そうすりゃ値段も半分ぐらいになる……おっと、こんなこと言っちまうとは。内緒だぜ?」
金を受け取ってから言う言葉かよ。
まあ、そんなことより……これがあるってことが大問題だ。
「おにーちゃん、それなあに?」
「え? ああ……これ? 食べ物だよ」
「見たことないよ? 土ついてるし……」
「いや、ま
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