崑崙の章
第10話 「ああ、また柱が!?」
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の……この……
「…………はぁー……」
わしは思わず深い溜息を吐く。
ほんにこのバカは、どうしたらよいのじゃろう?
「……とりあえず文官を呼べい。修理にかかる費用などの報告も受けんといかんからの」
「は、はいぃぃぃぃ!」
そう言って慌てて飛び出していく。
その際にゴンッという嫌な音が響いた。
「ああ、また柱が!?」
……胃が、胃が……
―― 盾二 side ――
「おおお……さすが港湾都市。市場が広い!」
俺は思わず声を上げる。
巴郡は周囲を田園地帯、南には長江と発展する街の要素を存分に適えた街だった。
その為、今まで見てきた街の中では一番盛大な様相を見せた。
商人の力が強いというだけあり、市場や商館の数は数多くある。
それを買い付けに来る他州の交易商人の数も多い。
ふと見れば、異国人の姿も見えた。
(まるっきり近代の上海みたいだな。人の流れがこんなに活発な場所は初めてだ)
宛で収集していた巴郡の情報は、片田舎だという内容が多かった。
だが、実際にこの場所を見ると、それは意図されて流された情報のようだ。
これだけの賑わいを見せる市場であれば、本来ならば洛陽が放って置かぬはずがない。
ここからの関税や収益を吸い上げれば、はるかに洛陽が潤うはずなのだから。
(こんな大港湾都市が今までノーマークだった……それは洛陽へ多額の賄賂を贈って、この情報を伏せさせていたのか)
つまり、それだけ商人たちの力が強いことを意味する。
おそらく商工会とかギルド……商業組合のようなものが裏にあるのだろう。
(城塞都市という中国ならではの閉じたコミュニティで、そんな多大な力は下手をすれば刺史や州牧などよりも強いかもしれない。桔梗はその太守……とんでもない苦労をしているようだ)
太守よりも力のある商人が相手だ。
自分がバカだと公言して、商人に対して弱みを見せておかなければ……賢しい商人のことだ、きっと桔梗を排斥しようとするだろう。
ただでさえ、桔梗は高潔な武人だ。
賄賂など絶対受け取らないだろう。
で、あれば……バカであるということで、無害を装う必要があるのかもしれない。
(ただのバカでは一つの街を取り仕切る太守などできはしない……たとえ、それが傀儡だとしても、だ。賄賂が効かない高潔な武人という、商人にとってはマイナスな部分もあるにもかかわらずに、桔梗が太守で居続けられる理由があるとすれば……)
それを確かめる為に、俺はこの市場に来ている。
「うわ〜〜〜〜〜……すっごいねぇ!」
俺の手を握る璃々ちゃんが叫んだ。
そう、俺は今一人ではない。
桔梗が城で残務
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