一日目(5)
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「峰岸君、どうしたの?そんな息を切らして」
案の定、唐橋さんは校舎裏の木の木陰でメモ帳片手に立っていました。
うぉう、彼女を待たせていた自分が憎い!
「ごめん、先生に呼び出しされてて遅れちゃったから急いできたんだ」
なんて情けない事を言った端から後悔する、遅れてきて言い訳するなんて、最低じゃないか!しかも理由が先生に呼び出しくらってたなんて。
「賑やかで飽きないね、峰岸君は」
なんて自己嫌悪になっていると彼女は笑って流してくれた。
やっぱり天使だ!
「じゃあ本題なんだけど」
「は、はい!」
「今、お母さんの事で悩んでたりしない?」
「へ?」
これから彼女が語る事は決してここに来るまでのようなウキウキ気分で聞けるような内容ではないという事を僕は心から嘆いた。
「お母さんの事で?別に特別気になる事は無いけど………何で?」
唐橋さんはやっぱ知らないかと呟く。
そんなミステリアスな所もやっぱり可愛い。
「あたしね、小学校の頃に二つ年下の友達がいたの……」
ん?なんだろう、いきなり突拍子も無い事を話し出したぞ?新手のドッキリかな?
「その子がね、あたしが中学二年の時に遠くへ引っ越しちゃってね」
唐橋さんは淀みなく語り続ける、どういう話なのかさっぱり読めてこないけど雰囲気から茶化していいような話ではないという事だけは分かる。
「その理由が両親の離婚だったの、元々その両親は仲が悪くていつ離婚してもおかしくなかったんだけど、その子がどうしてもここから離れたくないって、私に言ったんだ」
それがどんな子だったか知らないけどなんとなく想像はつく、両親の仲が悪い家庭にいて学校や外でこんなに素敵な女の子と一緒にいたんだ。
僕だったら一人暮らしをする覚悟がある。
この時、僕は当初の相談事という名目は完璧に忘れていた。
「それは私も同じでその子とは離れたくなかった、そして私は家が少しお金持ちでね、親も少し顔が広くてね、探偵とか雇えちゃったりするんだ」
ん?何か一気にドラマチックになってきたぞ?
「それで調べてもらったの、その子の両親の不仲の理由をね、それが、夫が浮気していたの、結婚する前から」
「な、何それ?結婚する前から二股掛けてたの?」
「そう、しかも浮気相手には子供もいたの、”その子より二つ年上の男の子が”」
え?
さすがにこの流れで唐橋さんが言わんとしている事は分かる、でもそんなの証拠なんて……
「浮気相手の人も子供が出来てからその人と会うことを控えてずっと隠していたらしいの、でもそれが夫より先に妻にばれて離婚となった、その結果、夫はもう一人の子とは”一度も会わぬまま”この町を去った、そして変な噂になる事を恐れた妻とその子も結局都会の方へと引っ越しちゃったの」
「唐橋
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