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八条学園怪異譚
第三十五話 座敷わらしその十二
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「阪神ファンはね」
「そう言われると何となく納得出来るけれど」
「そういうものなのね」
「それで道頓堀に一緒に入れたら」
「怨みを買ったのね」
「そういうこと、ただでさえ魔物がいたのに」
 甲子園の魔物である、まずこのとびきり悪質な魔物がいるのだ、しかもそれに加えてこの魔物が加わったというのだ。
「その怨念まで加わってね」
「それで阪神の暗黒時代がはじまったのね」
「そういうことなの」
「そうよ」
 座敷わらしは二人に話した。
「最近道頓堀から引き揚げられて呪いはかなりましになったけれど」
「それでもまだ呪いはあるのね」
「甲子園に残ってるのね」
 二人は話を聞いてわかった。
「それで阪神は日本シリーズでも負けて」
「今も今一つなのね」
 とにかく打線が打たなくて負けるというのだ。
「日本シリーズには出られても」
「結局負けるから」
「ロッテ相手は酷かったわね」
 座敷わらしは今度は六番の背番号になっている、この背番号も今や伝説となっている。
「あれはね」
「ああ、もう思い出すだけでトラウマよ」
「悪夢だったわ」
「まあ立ち話はこれ位にしてね」
 話す三人に茉莉也が話す。
「何処かで飲みながら話す?」
「何処でよ」
 座敷わらしは茉莉也の提案に問い返した。
「何処で食べるのよ」
「そうね、私の家に来る?」
 そこでどうかというのだ。
「お酒とお菓子があるわよ」
「そうね、それじゃあね」
 座敷わらしは茉莉也のその言葉に頷いた、そしてだった。
 その手に日本酒の一升瓶と柿の種の袋を出してこう言った。
「今から茉莉也ちゃんのお家に行って飲みながら阪神について語り合いましょう」
「それはいいけれど座敷わらしちゃんって保育園から出られたの」
「それも普通に」
「出来るわよ」
 座敷わらしは二人の問いにあっさりと答える。
「学園の中を自由に歩き回れるわよ」
「ここに縛られてるって訳じゃないのね」
「ここはお家だから」
 それにあたるというのだ。
「特にね」
「出てもいいのね」
「それで飲んでも」
「そうよ、ついでに言えばこれでも五百歳超えてるから」
 その年齢も話す。
「お酒もいいのよ」
「五百歳超えてるって」
「妖怪さんってその辺り凄いわね」
 普通の人間ではない、だから違うのも当然だ。
 二人ももうこのことはよくわかっている、それでなのだ。
「じゃあ今からね」
「先輩のお家で」
「飲もう、今年の阪神について語るわよ」
 茉莉也も完全に乗り気である。
「来年以降についてもね」
「阪神の春は短いわ」
 座敷わらしはここでは遠い目になって語った。
「ダイナマイト打線、御堂筋決戦、フィーバー、星野さんと」
 四回程黄金時代はあった、だがそのいず
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