第2話 それぞれの感情
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──これは、ゲームであって、遊びではない。
自らをソードアート・オンラインの管理者・茅場晶彦と名乗ったアバダーは、恐るべき宣告をし、消えた。
「……空太、わたし……どうしたらいいの」
さすがのマシロでも、プレイヤーの様子の異変にすぐ気が付いたらしい。
「そんな……そんなん……嫌や……! もうすぐ……事務所のオーディションがあんのに……!!」
管理者に与えられた手鏡によって、現実の姿になったナナミがぽろぽろと涙を流し、その場に崩れた。
「……面白くなってきたじゃないか! 行くぞっ、こーはい……くんっ……」
くるりと背を向けたミサキの声は震えていた。皆と違う方向を向いたのは、きっと涙を隠す為──いくら宇宙人といえど、不安を感じるのは地球人と同じなのだ。
「空太……わたし、やるわ」
「え……?」
マシロの声に、俯いていた顔を上げる。
「ここにいても仕方がないわ。わたし、漫画の原稿仕上げなくちゃいけないもの」
「マシロ……」
マシロは、口だけの笑みを浮かべてみせた。
「今の空太の方がいいわ」
ソラタは「なにが?」と聞いた。
「今の空太の姿は、いつもの空太の姿だもの」
マシロは、ナナミの方を向いて言う。
「七海も」
ナナは、涙を拭うと、気丈に微笑んでみせた。
「美咲も」
ミサキは少し腫れた目でマシロの方を振り返り、「ましろん!」と言ってマシロの手を取る。
「栞奈も」
カンナも、珍しく笑みを浮かべる。
「皆、いつもの姿よ。だからわたし、きっと頑張れるわ」
マシロがソラタに向き直って言った。
──ましろも案外、マトモなこと言うじゃないか。
ミサキがニッコリと笑って言った。
「ましろんの言う通りだよ! さくら荘組の底力を見せてやるんだー!!」
マシロに抱きついたミサキは、「ありがとう、ましろん」と囁いた。
「行くぞっ、さくら荘!」
ミサキの掛け声と共に、ソラタ達は《はじまりの街》を飛び出した。
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