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駄目親父としっかり娘の珍道中
第35話 さよならを言う時は笑顔で言え!
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とは違い真剣な面持ちでこちらを見ているのだ。

「さようならをした時の顔がそんな顔じゃ、気持ちまで沈んじゃうよ。さようならを言う時は、満面の笑顔でする! これが鉄則なんだよ」
「え、えふぁお?」
「そう、笑顔。笑顔でさようならすれば、ずっと笑顔の顔が頭に残る。そうすれば、また会えた時も笑顔で会える。だから、そんな顔しちゃ駄目だからね」

 そう言い、手を放す。フェイトの両頬が赤く腫れ、痛みがジンジンする。
 でも、必死に涙を流すのを堪え、目尻に溜まった涙を強引に拭い取った。

「こ、こう……かな?」

 そして、必死に作り笑いを浮かべてなのはを見る。そんな笑顔を見てなのはは満足気に頷いて見せた。

「上出来上出来! これで、フェイトちゃんの笑顔は私がちゃんと記憶したよ。これで、また会える時は笑顔で会えるね」
「う、うん!」
「約束だからね。忘れちゃ駄目だよ」
「うん、忘れない。私、絶対に忘れないよ!」

 必死に泣くのを堪えるフェイト。そんなフェイトを見てなのはは大層満足そうに胸を張ってドヤ顔をして見せていた。
 もし、もしなのはにかつての記憶があれば、きっとなのはも泣いていただろう。
 そう思える場面であった。ふと、一同はアルフを見ていた。
 アルフもまた、号泣していた。
 別れを惜しんでいるのだ。折角知り合えた友人達との別れを。

「心配する事ないネ。別れって言っても今生の別れじゃないネ」
「そうですよ。それに、僕達の所にある転移装置を使えば、何時でも遊びに来れますから」
「あんたら、良い奴等だねぇ。私も、何時か絶対あんたらの世界に行くからね。フェイトを連れて必ず行くからねぇ!」

 ボロボロと涙を流し続けるアルフ。そんなアルフを両隣から慰める新八と神楽であった。



 遠目から眺めているのは何も新八達だけじゃない。全く別の方向から眺めている者達も居た。
 銀時と士郎だった。
 そう、二人は約束を交わしていたいのだ。
 最終的になのははどちらの世界で生きていくか? と。

「それで、お互い答えを聞いてないって訳なんだよなぁ」
「そうか、なのははこの世界の思い出を全部失くしちゃってるのか」

 士郎は半ばガッカリした顔をしていた。短い間ではあったが、なのはと過ごした日々。その日々すらも、なのはは忘れ去ってしまっていると言うのだ。
 それが士郎には何所か辛く思えた。

「さて、俺達で決めちまうかい?」
「いや、もう答えは出ているさ」
「どゆこと?」

 士郎の言葉に疑問を覚える銀時。ふと、なのはを見ていた士郎が銀時の方を向く。そして、深く頭を下げてきたのだ。

「銀時。娘を……なのはを宜しく頼む」
「それで、あんたは良いのか?」
「今のなのはは私を父親とは
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