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駄目親父としっかり娘の珍道中
第35話 さよならを言う時は笑顔で言え!
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も目を覚ましたんだ。いよいよ俺達がこの世界に居る必要はなくなったって訳だ。総梧、通信機で通信を送って置け。すぐに俺達を拾ってくれってよ」
「分かりやした。土方さん以外全員拾って下さい。って伝えときやすよ」
「お前、とことん良い性格してるなゴラァ」

 土方の睨みを無視し、総梧は懐から折り畳み式の携帯電話に似た通信機を取り出す。
 それを手元で開き、通信ボタンを押そうとした時、その手を銀時が止めた。

「悪ぃ、帰るのは少し待って貰えないか。ちと野暮用があるんだ。海鳴市にさ」
「俺は別に構いやせんぜぃ。土方さん達もそれで良いですかぃ?」

 沖田の問いに異議を唱えるものはいなかった。それを見て銀時は安堵する。

(さて、本当の締めをしないとな)

 心の内で銀時はそう呟いた。本当の締め。これを行わずして、この依頼は完遂しない。
 



     ***




「うわぁ、凄い綺麗!」

 目の前に映る絶景を見て、なのはは歓喜の声を挙げていた。
 今見ているのは海鳴市の名物とも言える青い海原である。
 青く澄んでおり、まるで青空をそのまま映す鏡の様に輝いて映っていた。
 その隣にはフェイトが居る。最後の別れをする為だ。
 この後、銀時達は江戸に帰る。そして、フェイトはアースラへと戻る手筈になってる。
 外出の自由が許されない為、実質暫く離れ離れになるのは明白だった。
 そして、遠目から万事屋メンバーや真選組、それにユーノやアルフ、それにクロノが見ていた。
 
「気に入ってくれて、良かったよ」
「うん、凄い綺麗だね。それに、潮の香りも良いし、本当に最高の場所だよ!」

 手すりから乗り出して、胸いっぱいに潮の香りを吸い込む。とても嬉しそうだった。しかし、それとは対照的にフェイトは何所か沈んでいた。
 なのはは私の事を覚えていない。親友だと思っていたのは、もしかしたら私だけなのかも知れない。
 そんな不安があったのだ。
 それがフェイトの沈む顔の理由となる。

「どうしたの? 元気ないけど」
「え? ううん、何でもないよ。只、これで暫くお別れだと思うと、少し……寂しくなっちゃって……」

 ずっと我慢していたのだが、遂に堪えきれずに、フェイトは目から大粒の涙を流し始めた。それを皮切りに泣き始めてしまうフェイト。
 そんな泣きじゃくる少女を見ると、なのはは手すりから飛び降り、フェイトの目の前に立つ。
 そして、主室にフェイトの両頬を抓り始めたのだ。

「な、なのふぁぁ。いふぁい、いふぁいよぉ!」
「フェイトちゃんだっけ? お別れって要するにさようならって事だよね。だったら、涙でさようならはタブーだよ!」
「ふぇ?」

 抓られながらもフェイトは見た。なのはは先ほど
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