第35話 さよならを言う時は笑顔で言え!
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を積み重ねてきたからこそ浮かべられる笑みだと銀時は思えた。
軽く溜息をつき、銀時は席を立つ。
「ま、これから先大変だろうが、あんまり気負いすんなよ。将来剥げるぞ」
「それは嫌ですね。気をつけますよ」
「やれやれ、これで玉の輿計画もパァか……ま、しゃぁねぇか」
どうやらまだ諦めてなかったようだ。そんな呟きをしていると、クロノもまた席を立つ。
「有り難う御座います。銀さん」
「何だよ。いきなり」
「実は、銀さんから縁談の話を持ち込まれた時、僕自身受けても良いかな、って思ってたんです」
「マジでか!?」
思いも寄らぬ言葉だった。
「そ、それじゃ……」
「すみません、僕の方からそれはお断りさせて頂きます」
「え? 何で!?」
「今のなのはは、僕じゃ不釣合いですよ。あの子は僕には眩しすぎる。もっと他に良い人が必ず居る筈です」
どうやら、クロノ自身結構その気だったようだ。しかし、その話をクロノ自身がお断りする形となった。これで銀時の玉の輿計画は完全に破談した事になる。
「そうかい、しかし俺としちゃ決行お似合いだと思ったんだけどなぁ」
「僕はなのはだけを見てませんでしたから」
「なのはだけじゃないって、じゃ誰を見てたんだよ」
「貴方ですよ。銀さん」
「俺ぇ!!」
自分を指差して驚く銀時。
「もし、僕が銀さんの言う通り、なのはと添い遂げる事があったら、そしたら銀さんは僕の義父になる。そんな事を考えてたんです」
「お前、もしかして親父が欲しかったのか?」
「はい、正直に言うと。少しだけなのはが羨ましかったんです。父親の愛情を知ってるなのはの事が、少し羨ましくて、少しだけジェラシーを感じてましたね」
人と言うのは自分にない物を他人が持ってると嫉妬に似た感情を覚える。
クロノもまた人の子だ。人の子の様に感情を持っている。当然嫉妬に似た感情を持ってても当然と言える。
「何言ってんだお前は。あいつが父親の愛情を知ってるのと同じ様に、お前はお袋の愛情を知ってるじゃねぇか」
「母さんの?」
「誰も彼もが同じなんてなぁねぇよ。皆違ってる。違う顔、違う声、違う考え方、違う生き方。それが人間ってもんだ。皆違ってる、それが良い。そうじゃねぇか?」
銀時の言葉に、クロノは返答はしなかった。今一理解出来なかったようだ。
困った顔をするクロノの肩に、銀時がそっと手を置く。
「俺はお前の親父にはなれねぇ。だけど、飲み友達にはなってやれるよ」
「銀さん……」
「大人になって、あちこちに毛が生えたらまた来い。そん時ぁ一杯付き合ってやるよ。勿論、お前の奢りでな」
「ハハッ、楽しみですね」
二人揃って笑い出す。父親に憧れる少年と、ひょんな事から父親になってしまった男
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