第35話 さよならを言う時は笑顔で言え!
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江戸に事件が無事に解決し、もう戻れると言う連絡を取りたくても取れない状況なのだ。
「心配しなくても良いですぜぃ旦那。その通信機ってのは俺達も持ってますんで」
「そりゃ良かった。それなら何時でも帰れるって訳だな」
通信機関連の問題は無事に解決したようだ。だが、問題は実はもう一つある。
「銀ちゃん。なのはは目を覚ましたアルかぁ?」
「まだだ」
そう、今回の事件を解決に導いた一番の活躍者でもあるなのはだ。
彼女はあの激戦が終わった後、その場に倒れ、そのまま三日間近く昏睡状態が続いているのだ。
医療スタッフが懸命に処置を行ってはいるが、一向に目覚める兆しが見られず、その結果こうして足止めを食らってるのである。
「まさか、なのはちゃんがこのままずっと目を覚まさない……なんて事はないよなぁ」
「縁起でもねぇ事抜かしてんじゃねぇよゴリラ。あいつがそう簡単にくたばるタマかよ」
なのはの事は銀時が一番良く知っている。それに、銀時自身もそれは望んでいなかったからだ。
「ま、どの道暫くは身動きがとれねぇ。俺達に出来る事も何もねぇと来たもんだ。暇過ぎて溜まんねぇぜ、こりゃぁ」
煙草を吹かし、土方は溜息をついた。
江戸では毎日忙しく走り回り、江戸町内を守り、時には攘夷志士達と死闘を繰り広げたりしている真選組だ。そんな彼等が三日間もこの戦艦内に缶詰と言うのは至極珍しいといえば珍しい。
「うぅむ、俺としても部下達や江戸町内、そして何よりお妙さんの身が心配で飯も禄に喉を通らない状態だ。早く江戸に帰って安心させてやりたいものだ。お妙さんを」
「その心配はないんじゃね? 少なくともお妙はお前が居なくなって寧ろ清々してる筈だぜ」
部下や江戸町内なら話が分かる。だが、お妙に関しては完全に近藤勲の思い込みになってると断言出来る。
悲しいがこの両者の脈は殆ど無いと言っても過言じゃない。
「そうですねぇ、僕も早く江戸に帰りたいですよ。姉上もきっと心配しているでしょうし」
「定春も早く江戸に帰りたいって言ってるアル」
新八と神楽もまた同じ様に言っていた。因みに定春と言えば、食堂回りをうろつきながら目に付いた局員の頭に貪っている。その回りを他の局員達が餌で釣ろうとしたり力づくで引き剥がそうと頑張ったりしている。
それが無駄な努力と知らずに。
「銀さん」
「ん?」
後ろから銀時を呼ぶ声がした。振り返ると其処にはクロノの姿があった。
未だ完治しているとは言い難く、流石に全身のギプスは取れたものの右腕は分厚い包帯が巻かれ、固定具で固定されている状態。頭も包帯が巻かれており何所と無く痛々しさを感じられる。
「ちょっと、話がしたいんですけど、大丈夫ですか?」
「構わねぇよ
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