第34話 思い出は遠き彼方へ・・・
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閃光が止み、銀時達の視界が回復する。目を擦り視界を取り戻す一同。そんな彼等の前に居たのは。戦いに勝利し、凱旋を果たしたなのはと、彼女に抱き抱えられる形で横たわるプレシアの姿だった。
「やったな、なのは」
「キャッホォイ! 私達の勝利ネェ!」
誰もが諸手を挙げて喜びを露にする。勝利、その言葉が何よりも似合う場面だった。
だが、なのははそれに対し首を横に振った。
まだ終わっていない。此処からは私の戦いなのだと。
甲板の上にそっとプレシアを寝かし、その側になのはは座り込む。
そっと自分の胸に手を当てて静かに目を閉じた。
(アリシアちゃん、約束だよ。私の体を貸してあげる)
数秒。ほんの数秒の間だった。それが経った後、なのははそっと目を開いた。
雰囲気が変わっていた。何所かなのはとは違う雰囲気を感じたのだ。
まるで、別の誰かが宿ったかの様に。
そっと、なのはがプレシアの体を抱き起こして目の前に引き寄せる。
「母さん、母さん……起きて、母さん」
なのはの口からその言葉が発せられた。驚く一同。
そんな中、静かにプレシアが目を開く。そして、自分の目の前に映ったなのはを見る。
目の錯覚だろうか。本来其処に居るのはなのはの筈。だが、プレシアの目には彼女はなのはには見えなかった。
「ア、アリシア……」
「そうだよ、母さん。今はこうしてこの子の体を借りて話す事が出来るけど、私はアリシアだよ」
どうやら、なのはの体にアリシアと呼ばれる少女が憑依したのだと思える。静かにそれを見守る。これはなのはの戦いであり、なのはの請け負った依頼だ。そして、その依頼をなのはは完遂する為にこうして必死に戦っているのだ。
その最後の締めなのだ。
「御免なさい、アリシア。結局、私は貴方を生き返らせる事が出来なかった」
「良いよ。私は母さんを恨んでなんか無い。それに、母さんは私の願いを叶えてくれた。素敵な妹を作ってくれた」
「妹?」
「母さん、覚えてない? 私があの時、母さんにお願いした事」
それは、まだアリシアが存命している時の事だった。何時もの様に草原の上で二人楽しく時を過ごしていた時。アリシアがふと、プレシアにお願いしたのだ。
妹が欲しい―――と。
その願いにプレシアは戸惑うも何とかすると言った。そして、その願いの結晶こそがフェイトだったのだ。
「そうか、そうだったのね。私はフェイトを作った理由。それはアリシアの変わりで作ったんじゃない。アリシアの妹として、フェイトを作ったのね……もっと、もっと早く気付くべきだった……」
プレシアの目に一筋の涙が零れ落ちる。全ては遅すぎた。もっと早くそれに気づけば、フェイトにア
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