第34話 思い出は遠き彼方へ・・・
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入れるほどに、その痛みは増して行く。
【無駄だ! 振り解こうともがけばもがくほど、その雷撃はお前の体を痛めつける! それから逃れる事は不可能だ】
「しゃ、喋った!?」
今まで口を聞かなかった魔王が此処に来て初めて言葉を発した。それになのはは驚いた。
化け物の様に荒々しかったそれから発せられた言葉は、対照的に何所か冷血で、落ち着きのある口調にも取れた。
【体が馴染まなかったが故に言葉を発せ無かったが、今は違う。この体は完全に私の物となった。後は只一つ、掛けた最後の一部を取り戻すだけだ!】
「最後の、一欠片?」
【さぁ、返せ! 貴様の中にある青き宝玉を、私の体の一部を返せ!】
魔王が言っているのは恐らくなのはの体内に宿っているたった一つのジュエルシードの事だ。それを魔王の体内にある二十個のジュエルシードが欲している。
求めているのだ。全てが揃う事を。己が完全体なる事を。
「嫌だ! 絶対に渡さない!」
【ならば力づくで奪うだけよ!】
魔王が両手を伸ばす。それに連動するように左右の球体から放たれる雷撃が力を増す。体に来る激痛が増して来た。
痛みになのはの顔が歪んでいく。それでも諦めずに振り解こうとするが、その努力すら無駄と言いたいかの如く雷撃は威力を増し始めていく。
【まだ諦めないか? ならば貴様の肉体を破壊し、存在を抹消した後に青き宝玉を回収させて貰う】
雷撃の威力が更に増した。それは最早落雷の領域だった。白熱の稲妻が体中に食い込んでいく。意識を刈り取るかの様に、その激痛は全身に行き渡る。
光を吸収しようにも、この空間の光は弱い。雷撃を振り解く程の光を集める頃には肉体がボロボロになってるだろう。
(負けたくない! こんな所で……倒れたくない! まだ何もしてないのに……諦めたくない! 絶対に、諦めたくない!)
痛みに体が麻痺し始めてきた。もう腕一本すら動かない。だが、それでもなのはは諦めなかった。
諦めたくない。負けたくない。倒れたくない。その不屈の思いだけがなのはの支えだった。
(力が……もっと力が欲しい! 負けない力を、皆を守れる力を……力を!)
強く、ただひたすらに強くそう願った。仲間達を、友達を守れる力を。
闇を払い、誰にでも訳隔てなく光を与えられる光を。
絶望を打ち砕き、希望の未来を見出す事の出来る自分を。なのはは求めた。
強く、強く。それだけを強く願った。
鼓動を感じた。一筋の波を打つような。そんな鼓動を感じた。
内から聞こえたその鼓動。なのはは気付く。何かが、何かが自分の中で目覚めた事を。
鼓動を感じた後、なのはの全身に凄まじいまでの力が沸きあがるのを感じた。止め処なく力が流れ込んでくる。
決壊したダムから流れ落ち
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