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駄目親父としっかり娘の珍道中
第34話 思い出は遠き彼方へ・・・
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味だ。逆に彼女に力を与えるだけで終わる。
 
「それに、前にも行った筈だよ。もうお前の攻撃は通用しないって」

 自信と勝利の確信を持ってなのはが言った。誰もがその光景を見てわが目を疑った。陸地を失い、虚数空間の上で、なのはは浮いているのだ。
 本来なら飛行出来ず落下するだけだと言うのに、なのははその上で浮いていたのだ。
 
「信じられない、虚数空間の上で魔法を使える筈がないのに?」

 魔法に精通している者達は誰もが驚きを隠せなかった。あらゆる魔法をデリートし、無効化する空間。それが虚数空間と呼ばれている。この空間内ではあらゆる魔法を使用する事が出来ない。無論、飛行魔法も同様だ。
 では、その中で浮かんでいるなのははどうだと言うのか?
 何故彼女は浮いていられるのか?
 只一つ分かる事と言うのは、今あの魔法と対峙出来るのはなのはしか居ないと言う事だけだ。




     ***




 もう、互いに逃げる場所はない。そして、此処が今回の戦い、後に呼ばれるジュエルシード事件、そしてPT事件と呼ばれる戦いの終局の場所であった。
 時の庭園はその姿を全てなくし、今此処にあるのは不気味な色をした空間だけ。その空間の中に一人の少女と、一人の魔王が対峙していた。
 魔王となったそれが、両の手を大きく振るう。振るった左右の腕から無数の光の弾が放たれる。
 魔王の腕とほぼ同じ位の大きさだった。それが何十個も作り上げられ、まるで弾丸の様に一直線に向ってくる。
 
「そんなのぉ!」

 なのはに向って来たその巨大な光の弾。それらが目の前に来る度になのははデバイスを振るった。
 横一線に、縦一文字に、逆袈裟掛けに、それを振るう。その度に、光の弾は真っ二つに切断され、遥か後方で空しく爆発し、その姿を消した。
 この程度の武器では勝てない。それ位は分かる。だが、これならどうだ?
 そう言いたげに今度は魔王が行ったのは両手を頭上に掲げる。両手の中心に先ほどの弾とはまた違った色の光の弾が姿を現す。その弾は只の光の弾じゃない。雷撃を帯びている。それに大きさも先ほどの倍はある。
 再び魔王はそれを投げつけてきた。同じ事だ。目の前に来たそれをなのはは先ほどの弾と同じ要領で真っ二つに切り払った。
 だが、今度の弾は違った。二つに切り払われた直後、二つに分かれたその弾はなのはの真横に移動する。
 半分に割れた弾はそのまま再び球体の形を成す。二つに分かれたその球体から、その周囲を纏っていた雷撃を放つ。
 左右に分かれた球体から放たれた雷撃はその中心に居たなのはを捕えて離さない。
 
「づっ! 雷撃が……」

 振り解こうともがくが、その度に雷撃の痛みが体全体に広がる。茨の縄で縛られたような感覚だ。
 力を入れれば
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