第34話 思い出は遠き彼方へ・・・
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へ落下するだけだ。その先に待っているのはたった一つの明確な現実だった。
死―――
この一言にどれだけの意味があるか。想像しただけでも背筋が凍る思いがする。
目の前で光が萎みだした。どんどん光は小さくなって行き、やがて消え去ってしまった。
その光の中から現れたのは、光を放ったであろう怪物であった。
だが、その姿は大きく変貌していた。体の大きさはかつての約二倍近くにも増大し、手足の爪も更に鋭くなり、その風貌は更に禍々しさを増していた。
その姿を一言で言い表すならば、それは悪魔だ。
いや、それ以上。そう、その姿は正しく地獄の主、悪魔達の王、魔王だ。
漆黒の魔王が其処に居たのだ。
魔王がこちらを睨む。不気味に、とても嬉しそうに微笑みながら。耳元まで裂けた口を更に裂けるように吊り上げながら不気味な笑みを浮かべていた。
もう、あの娘は居ない。次はお前達だ!
そう告げているかの様にも見えた。邪魔者は居なくなった。脅威は去った。後は雑魚であるお前達の処理だけだ。そうすれば全てが終わる。
魔王の咆哮が響く。圧倒的威圧感を放つ。強者の咆哮だ。格の違いを見せ付けられるかの如くその咆哮は凄まじかった。耳を貫き、鼓膜を破るかと思われる程の。盛大なハウリングボイスが一同の耳を捉える。
「嬉しそうな所悪いんだけど、勝手に人の事を殺さないでくれない?」
咆哮が止んだ。声がしたのだ。
それはアースラに居た誰もが聞こえた。声がした。
なのはの声がした。だが、姿が見えない。何所に居る?
魔王が辺りを見回した。まだ生きている。まだ奴が生きている。
何所だ? 何所に居る! 姿を現せ!
苛立ちが募り、その顔は更に禍々しさを増し、不気味さと恐怖さを増していた。
そんな魔王の前に、光の粒が集まりだした。一つ一つじゃない。無数の光だ。幾千、幾万にも及ぶその光の粒達が魔王の目の前に集まっていく。その光はやがて、人一人分の大きさにまで膨らむ。丸く、小さい光。だが、その光は先のあの不気味な光とは違い、温かく、そして力強い光であった。
その光の中心に影が映った。うっすらとだがその影には人の姿が見て取れる。
まさか、そんなまさか!
魔王が目を見張る。光がやがて萎み、消え去る。その光の中から現れたのはなのはだった。
傷一つ負っていない。いや、寧ろ先ほど以上に力が増しているようにも見える。
「私に向ってそんな攻撃をしたって無駄だよ。返って私に力を与えるだけだからね」
そう、魔王は錯乱した余りに忘れていた。なのはが光を吸収して力に変えている事に。魔王が放った広域放射魔法は確かに攻撃魔法だが、それは言ってしまえば高出力の光だ。
常人であればその光を浴びれば忽ち蒸発し、骨も残らない。だが、なのはにはそれは無意
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