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駄目親父としっかり娘の珍道中
第34話 思い出は遠き彼方へ・・・
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「リンディさん、今すぐなのはの所へ行かせて下さい! 私がなのはを連れて来ます!」
「無理よ。時間がないわ! 貴方も巻き添えを食らうつもり?」
「でも、でも!」

 フェイトは愚図った。大切な友達を見捨てる事なんて出来ない。この世界に来て初めて出来た友達。
 自分と同じ年でありながら、心の持ち方、人との接し方、他にも色々な所が違う明るい子。
 暗くなっていた時は何時も側に居て笑ってくれた。孤独だったフェイトにとって心の支えだった。そんななのはを見捨てる事など、フェイトには出来なかった。

「私一人でも行きます!」

 フェイトはすぐに駆け出した。高速移動の魔法を用いれば行ける筈だ。距離はあるがギリギリだろう。怪物の体が歪に発光を始めた。何かをする兆しに見える。急がないと。
 魔方陣の外に出ようとするフェイトをアルフが止めた。フェイトの幼く細い手をしっかりと掴んで。

「離して!」
「駄目だ、死ぬ気なのかい!?」
「助けなきゃ! なのはを助けなきゃ!」
「もう……間に合わないよ!」

 諦めた顔で、悔しさの滲み出た顔でアルフは言った。最悪の死刑宣告だった。
 もうどうする事も出来ない。その悔しさがフェイトにはあった。敷かれた魔法陣の上で、フェイトは膝を折り地面に崩れた。
 無力、余りにも無力だった。魔法の勉強をし、母の役に立とうと今まで必死に努力してきた。それなりに実力を持ち自信も持てていた。
 なのに、それなのにこのザマだ。
 泣き崩れるフェイトを連れ、リンディは転移魔法を発動した。魔方陣内に居た全ての人間が転移される。残ったのは怪物となのはだけだ。
 そして、怪物が光を解き放った。




     ***




 アースラに一同が転移したとほぼ同時に、時の庭園からアースラは退避した。それから数秒後、時の庭園が不気味な閃光に包まれた。
 邪悪な光だった。なのはが放っていた光とは全く異なる光、背筋を凍らせる冷たい光だった。
 その光が時の庭園を丸ごと包み込み、辺りを明るく照らしている。
 広域な放射魔法。自爆も同然だった。あの中にもしいたら、一瞬の内に蒸発していた筈だ。バリアジャケットなど意味を成さない。まして、銀時達侍では一瞬たりとも耐えられる代物じゃないのは明白だ。

「後数秒、転移が遅かったら、私達もあの光に巻き込まれていたわ」

 甲板の上に転移し終え、その光を見ながらリンディがそう呟いた。正に僅差であった。後数秒。そう、後数秒の差で生死が分かれていたのだ。
 では、その中に居る怪物はどうなった? 
 そして、なのはは?

「例え、あの光に耐えられたとしても、下は虚数空間だ……」

 誰もが絶望的な表情を浮かべていた。飛行魔法が使えないのでは、後は重力の底
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