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駄目親父としっかり娘の珍道中
第33話 絆の数字は【4】
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闘が得意なタイプなのだ。
 だが、今なのはが行っているのはゼロ距離での打撃戦だ。これでは明らかに彼女が不利である。何故有利な遠距離戦闘で戦わないのだろうか?
 それに、彼女は余り魔法を使っていない。バインドや他の魔力弾などを一切使っていない。只魔力を拳に宿して叩き付ける。それしか行っていないのだ。
 其処にフェイトは疑問を感じた。

「何でなの? 何で魔法を使わないの、なのは?」
「違うよフェイト。使わないんじゃないんだ」
「え?」

 背後から声がした。振り返ると、其処に居たのは本来上層階に行った筈のクロノと真選組の面々であった。

「クロノ、それに皆!」
「御免、遅れたみたいだね」
「良いよ、それよりどう言う事なの? 何でなのはは魔法を使おうとしないの?」

 それが疑問だった。何故もっと有利な戦いをしないのだろうか。何故怪物の独壇場とも呼べる接近戦で戦っているのか。それが知りたかった。その答えは、意外な程簡単な内容だった。

「使わないんじゃない。使えないんだ」
「使えない!?」
「考えてもごらん。なのはは本来銀さん達と同じ江戸から来た人間だ。魔法とはほぼ無縁の世界。その人間がいきなり魔法の力を手に入れたからって使える筈がないんだ」
「そ、それで……」

 納得が行った。それと同時に唖然にもなった。自分達にとっては至極常識とも呼べる魔法の知識。それがなのはには全くないのだ。幾ら魔導師として覚醒したとしても、幾ら高い魔力と素質を持っていたとしても、その使い方が分からなければ意味がない。
 優秀な武器だけでは戦場では勝てない。それを有効に利用出来る逸材があってこそ、その武器は輝くのだ。
 今、なのはは正にその状態なのだ。優秀な武器を持っていてもその使い方が分からない。そんな状態だった。

「どうすれば良いの? 私には、何か出来る事はない?」
「残念だけど、今の僕達が戦いに参加したところで、邪魔にしかならない」

 厳しいようだが、筋の通った言葉が投げ返された。その通りだ。なのははあの怪物とほぼ互角に戦っている。
 だが、自分達はどうだ。あの怪物に全く手も足もでずに敗北したのだ。そんな自分達が行った所で何が出来る。何も出来ない。それが現実だった。

「何暗い顔してんだ」
「土方さん……」
「お前に出来る事ならあるだろうが。あいつの勝利を願ってやるって事がよ」

 煙草を吹かしながら、土方は告げた。良く見れば、土方も既にボロボロだ。いや、土方だけじゃない。
 沖田や、近藤。それにクロノも皆ボロボロの状態だ。最上階もきっと激戦だったのだろう。
 それを終えて此処まで駆けつけてくれたのだ。

「悔しいが執務官の言う通りだ。今の俺達が束になったところで、あの化け物にゃ勝てる道理なんざねぇ
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