第33話 絆の数字は【4】
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できたのだ。
身構える暇などなかった。何故なら砕いた岩盤の後すぐに現れたのだから。
何で来る?
拳か? それとも蹴りか?
身構えた怪物は全く異質な攻撃を受ける事になった。
なのはが大きく背を反り、そして思い切り自分の眉間を怪物の眉間に叩き付けたのだ。同じだった。怪物が岩盤を打ち砕いたのと同じ頭突きで攻撃してきたのだ。
これには予想外とばかりに再度怪物はその場に倒れこむ。
だが、倒れた直後、今度は尻尾が唸りを上げて襲い掛かってきた。
鞭の様に撓る尻尾が直撃する。脇腹に痛みが走った。もしかしたらあばらが何本か持って行かれたか?
だが、そんな事気にしていられない。
叩きつけられた尻尾を脇に抱え、それを軸にしてなのはは回転した。尻尾を中心にして怪物が今度は上空へと持ち上げられる。
信じ難い光景だった。
僅か9歳の女の子が、全長10メートル強の怪物を軽々と振り回しているのだ。
ジャイアントスイングの要領だった。遠心力の力を利用し、巨大な怪物を竜巻の様に振り回していく。
そして、先ほど自分が受けたのと同じ様に怪物を壁に向かい放り投げた。遠心力の勢いもあり、弾丸の如き速さで怪物は壁に激突する。
そしてそのまま壁を突きぬけ、玉座を通り越し螺旋階段の間へと突き抜けていった。
螺旋階段が怪物の激突により大きく破壊されていく。流石の怪物も無事ではなく、いたるところから不気味な色の血を垂れ流している。
だが、まだ参ったと言うような顔をしていない。
そんな怪物に向かいなのはは向った。双方ともにかなりの痛手を被った筈だ。なのに、この両者は一向に引き下がる気配が見られない。
なのはもまた螺旋階段の間へと到達した。その後に展開されていたのは激しい乱打戦だった。
もうこの戦いに策略も戦略もない。ただただ力と力のぶつかりあいだった。
怪物の両拳と、なのはの両拳が激しくぶつかりあう。
怪物の巨大な手がなのはを壁に叩き付ける。かと思えば、なのはの右拳が怪物の鳩尾にたたきつけられ、同じ様に壁に叩きつけて行く。
拳だけじゃない。打撃技と呼べる打撃技が其処では展開されていた。
辺りに鮮血が飛び散る。赤と別の色。二色が入り混じった鮮血が壁に塗りつけられて行く。
赤いのはなのはの血だ。だが、もう一方のは怪物の血であった。
互いが傷つき、ボロボロになりながらもそれでも引き下がろうとはせずに、ただただ食らいついて行く。まるで獣だ。そう、これは人の戦いじゃない。まるで獣同士の戦いだった。
「なのは、何で? 何でそんな戦い方をするの?」
フェイトは疑問に思った。おかしい。なのはの戦い方じゃない。そう察する事が出来た。
最初に見たなのはのデバイスから分かるように、なのはは本来砲撃戦用。即ち遠距離戦
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