第33話 絆の数字は【4】
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それは、紛れも無い現実の出来事だった。
目の前に聳え立つは悪魔を模した巨大な怪物。その全長はパッと見ただけでも10メートル以上はある様に思える。
正確な全長は分からないが、放たれるその威圧感からそう感じ取れた。
そして、もう一つ映っているのは、一人の少女だ。
若干9歳位の小さな女の子である。違う所と言えば、その少女はこの世界にある技術の結晶を身に纏っていると言う事だ。
魔力で構築された鎧、バリアジャケット。
色は白を基本としており、その形はフェイトのスピード重視のそれとは正反対の仕様であった。
そして、その手に持たれているデバイス。形からしてそれは恐らく砲撃戦用の物だと思われる。
その二つを身につけた少女が、今フェイトの目の前に姿を現していたのだ。
「なのは……なの?」
掠れるような小さな声で、フェイトはそう呟いた。もしかしたらこれは夢なのかも知れない。正常な意識に戻った途端霧の様に消えてしまうのではないだろうか。
そう思えてしまった。
だが、其処に映っていたのは紛れも無い現実だった。目の前に立っていたのは紛れも無くなのはであり、そして、彼女が自分と同じ魔導師として覚醒していたのだ。
「あれ、フェイトちゃん……どうしたの? そんな顔して」
「無事だったんだね? 死んでなかったんだね?」
「当然! 私が居なくなったら、万事屋が成り立たなくなっちゃうからね」
胸を大きく張り、自信有り気になのはは答える。鼻を鳴らしているその顔は正しく自信の塊にも見得た。
だが、なのははまだ知らない。その万事屋のメンバー達がどうなってしまったのかを。
そして、それとは対照的にフェイトは知っている。万事屋のメンバー、銀時達がどうなってしまったのかを。彼等の今の状況を。知っているのだ。
「なのは、実は……銀時達は、もう……」
「大丈夫だよ。お父さん達は死なない。死んでなんかいない」
「え?」
真剣な声色だった。その目には一切の迷いも、疑いもない。真剣で、子供らしくて、とても澄んだ目をしていた。
こんな目をしていたんだなと、フェイトは今更ながら思った。
「だって、私を助けてくれたのはお父さん達なんだから、そのお父さん達がこんな所で倒れる筈がない。絶対に立ち上がってくる。だから、それまで私が頑張るんだ」
「でも、なのは一人で挑む気?」
「一人じゃないよ。皆が付いてるから」
そう言い終えると、自分の胸に手を当ててそっと目を閉じる。
「私の中に、皆の思いが篭ってる。【負けるな】【頑張れ】って。だから、だから私は戦える。心の中に皆の熱い思いがあるから」
「なのは……」
「見ててね、今度は私が皆を守る番だよ!」
強く、芯の篭った言葉を放ち終えると、なのはは前に
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