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駄目親父としっかり娘の珍道中
第32話 本当の強さとは諦めの悪い事
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いで死闘を演じていると言うのに、その戦いに私は加わる事が出来ない。
 自分の無力さが、なのはは悔しくて溜まらなかった。
 そんな時、凄まじい轟音が響いた。見れば、銀時を捉えた怪物の腕が地面に叩きつけていたのだ。
 怪物の腕の中で銀時が苦しみもがく。口からは鮮血を吐き出し、同時に苦痛の叫びが木霊する。
 それを引き剥がそうとフェイトやアルフ達が挑むも、片手であしらわれてしまう。
 ユーノが手から無数の光る鎖を放っても、今度はそれを苦もなく払い除けて行く。
 全く歯が立たないのだ。あれだけ銀時達と激戦を繰り広げてきたフェイトやアルフでさえ、あの怪物を相手にまるで子バエの様にあしらわれている。
 その間にも、銀時を掴んでいる腕に力が込められている。そのまま握り潰すことさえ容易な筈だ。
 それを遭えてそうしないのは余裕の表れなのだろうか? それとも、長く苦しみを与えてからトドメを刺そうとしているのだろうか?
 どちらにしても趣味の悪い話であった。
 どうすれば良い。私は一体どうすれば良い。
 目の前に聳える巨大な怪物に対し、どう立ち向かえば良い。
 方法なんて無かった。力のない自分にあんな化け物を倒す術などある筈がない。
 だが、諦めたくは無い。その気持ちがあった。
 約束した筈だ。彼女を、プレシアを止めると。
 約束した筈だ。暗闇の中で、アリシアとそう約束した筈だ。
 その約束を破る訳にはいかない。これは約束であると同時に自分が契約した依頼なのだから。
 その依頼を果たす為にも、此処で諦める訳には行かない。此処でくじける訳には行かない。此処で立ち止まる訳にはいかないのだ。
 立ち上がり、周囲を見渡す。何か使える物はないか?
 それは、案外すぐ近くにあった。大きさからして短刀なのだろう。上階で使っていた鎧の怪物の武器がたまたま落下して目の前にあったのだと思える。
 だが、なのはにして見ればそれはもう立派な刀にも見えた。持ってみるとズッシリと重たさを感じられた。だが、振れない重さじゃない。充分に武器として使う事が出来る。
 それを両手に持ち、なのはは怪物を見据える。
 もう守られるだけなのは嫌だ! 何もしないのは嫌だ! 
 私も戦うんだ! だって、私は万事屋の一員なんだから!




     ***




 怪物は今、勝利を確信していた。回りに居るのは殆ど雑魚の集まり。魔導師では到底話にならないし、侍と言えどもこのざまである。
 二人の侍は先ほど放った毒針の影響で暫くすれば死に至る。そして、もう一人の侍ももうすぐこの腕の中で息絶える手筈だ。
 しかし、そうさせまいと周囲を跳び回りこちらを攻めて来る魔導師がやかましく思えた。
 何故こいつ等は敵いもしないと分かっておきながらわざわざ挑んで来るのか
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