第32話 本当の強さとは諦めの悪い事
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「ちっ、好き勝手暴れやがって!」
木刀を握り締めて銀時は立ち上がる。これ以上奴に好き勝手暴れさせる訳にはいかない。
なんとしても此処で倒す必要がある。だが、どうやって倒す?
「おい、フェイト。お前何時かの時みたいにジュエルシードを封印とか出来ねぇのか?」
「単体だったら出来るけど、今の私の魔力じゃ二十個全部一気に封印は……」
其処で言葉を区切った意味は分かっている。出来ないのだ。過去にフェイトは六個一度に起動したジュエルシードを封印するのにも苦労した。今回はその実に三倍近くはある二十個。
それを一人で封印など無理だと言うのだ。だが、やらなければならない。出来なければ確実な敗北が待っているのだから。
***
銀時達が必死に戦っている最中、なのはは一人離れた場所に飛ばされていた。
幸い床がちゃんと有った為に落下死すると言う事はなかったのだが、衝撃の余り暫くの間意識が飛んでいたようだ。それが今頃になってようやく目を覚ましたのだと言う。
「あ、あれ?」
朦朧とする意識を急速に呼び戻し、事態を把握しようと周囲の状況を見て確認を行う。
そして見つけてしまった。銀時達を追い詰める悪魔の様な姿をした禍々しい怪物の姿を。
全身に生えた黒い体毛。太く長い手足。鋭い眼光と耳元まで裂けている口から生え揃っている牙。背中に生えている二枚の蝙蝠の様な羽に腰部分には太い尻尾が暴れ狂っている。
その化け物の様な怪物を相手に銀時達は苦戦を強いられていた。
力の差は歴然としていた。江戸では幾多の天人や巨大エイリアン。そして猛者達を蹴散らしてきた銀時でさえ、悪魔の様な怪物を前に苦汁を呑まされている。
そして、フェイトやアルフ、それにユーノも同じように苦戦を強いられていた。
何よりも驚いたのは新八と神楽だった。
二人共地面に伏せている。それだけじゃない。二人の肌の色が紫色に変色しているのだ。
そして、二人の顔色も何所か苦しそうだ。恐らく毒か何かを入れられたのかも知れない。
「お父さん、皆!」
すぐに自分も加わらねばならない。このまま放っては置けない。
だが、其処でふっと思う。
―――私が行って何が出来る?
其処で、なのはは我に返った。
何時もそうだった。依頼を見つける事は出来ても、一緒に依頼をこなす事は出来ない。
まだ幼いから、小さいから、力がないから、そんな理由で、何時も自分は父や新八、神楽達の後ろに隠れてるだけだった。
自分も万事屋の一員の筈なのに、何故か自分は万事屋と言う巨大な歯車に混ざれてない感じがあった。
何所か疎外感を感じていた。
誰もが死に物狂いで戦っているのに、私は闘う事が出来ない。皆が血の滲む思
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