第32話 本当の強さとは諦めの悪い事
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物の背中の体毛が逆立った。かと思った直後、一斉にその体毛が弾丸の如く発射されたのだ。
まるで弾丸の雨だった。無数の毛の弾丸が背後に回った新八と神楽を容赦なく襲ったのだ。
「新八、神楽!」
銀時の目の前で二人は声を上げる事すら出来なかった。まるで全身ハリネズミだった。
細い毛の弾丸が体深くにまで突き刺さっているのだ。
此処からでは二人が無事なのかすら分からない。
そんな銀時に向かい尚も化け物は容赦なく腕を振るってくる。
「邪魔、すんなぁ!」
怪物の腕を木刀で払い除けようとした。その一撃は重く、また鋭かった。
まるで巨大な丸太棒を振るってる巨人と戦ってるような感覚だった。
こんな奴の攻撃をまともに受け続けていたら先に銀時の腕がやられてしまう。
今はこんな化け物の相手をしている暇はない。だが、少しでも気を緩めればその腕に押し潰されてしまう。
どうする。どうすれば良い?
めまぐるしく変わる戦いの中で、銀時は必死に自分の思考をフル稼働させた。
この状況をどうやって打開する。頼みの魔導師の武器でも効き目は薄い。それに接近戦も危険が伴うのは先のあれで実証済みだ。
となれば遠距離から攻めるしかないが、生憎遠距離の武器など持ち合わせていない。それに、そんな物では倒せない事位分かれた。
突如、怪物の体を光り輝く鎖が雁字搦めに絡め取る。見れば、ユーノがバインドを放っていたのだ。
「早く、二人の所へ行って下さい!」
「助かったぜ」
怪物が鎖を引き千切ろうと銀時から狙いを外した。その隙に怪物の股下をくぐって二人の元へと急ぐ。
「新八、神楽! しっかりしろ!」
二人の元に駆けつけた時、その変化に目を見張った。
全身に突き刺さった細い毛、その毛を中心にして、二人の体を紫色に染め上げて行ってるのが分かる。
一体この毛は何だ?
「その毛に触れちゃ駄目!」
「何?」
フェイトの声がした。振り返ると、かなり痛手を被ったアルフを肩で担ぎながらフェイトがやってきていた。
「おい、この毛は一体なんだよ? 何で新八と神楽の体が紫色になってんだよ!」
「多分、この毛には猛毒が染み込んでるんだと思う。魔力を持ってる私達には多少免疫があるけど、それを持ってない銀時達じゃ致命傷になる」
「ま、マジかよ! どうすりゃ良い? このままだと二人共お陀仏なのか?」
重い顔をしながらフェイトは答えなかった。それが答えとなっていた。
今この場では手の施しようがない。下手に触れば最悪フェイト達も感染してしまう。
免疫があるとは言えそれが役に立つかどうかは分からないのだ。
鎖に引き千切れる音がした。怪物がバインドを千切ったのだ。再び自由になった怪物が縦横無尽に暴れ始める
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