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駄目親父としっかり娘の珍道中
第32話 本当の強さとは諦めの悪い事
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死に頭の回転を早めている者達の中で、銀時は誰よりも早くその言葉を理解した。

「おい、誰でも良い! 早くあいつからジュエルシードを奪え!」
「え? ど、どう言う事なの銀時。どうしてジュエルシードを?」
「良いからさっさと奪い返せ! あいつ、ジュエルシードを自分で使う気だ!」

 言葉を聞き終えた時には、既に手遅れであった。プレシアは、隠し持っていたであろうジュエルシードを全て目の前に並べていたのだ。
 その総数。実に二十個。
 なのはの体内に宿っているたった一つのジュエルシードを除き、その殆どがプレシアの前に揃っていたのだ。

「ジュエルシード、私の願いを聞いて頂戴。私に、此処に居る全ての人間を抹殺出来る力を頂戴」
「止めて、母さん!!」

 後先考えず、プレシアの元へと走ったフェイト。だが、その時、凄まじい閃光と衝撃が辺りに広がった。
 その拍子にその場に居た殆どの者が両足を踏ん張って衝撃に耐える。
 無論、間近に居たなのはや、近づいたフェイトはその衝撃が諸に来ていたのは言うまでもない。
 幼い二人の体は、瞬く間に木の葉の様に吹き飛ばされてしまう。
 フェイトは銀時達の近くに落下し、なのはは更に銀時達から離れた位置に飛ばされてしまった。
 
「くそっ、目眩ましか?」

 閃光が止んだ事知り、銀時達は目を開ける。
 其処で一同が見たのは想像を絶する存在であった。
 目の前に居たのは間違いなくプレシア・テスタロッサだった。だが、その姿形は全く異なる存在となっていた。
 全身は不気味な色の体毛を有しており、身長はかつての倍以上はある。鋭い牙や不気味な眼光。まるで悪魔を模した様な姿をしていた。その姿は恐らくプレシアの中に宿った憎しみの集大成とも言えた。

「ま、マジかよ……」
「ぎ、銀さん……何なんですか!? あの化け物は」

 新八の声が震えている。目の前に突如現れた怪物に恐れを抱いているのだ。無理もない。目の前に突如西洋の聖書内に現れそうな悪魔を模した怪物が現れたのだ。
 驚かない方がおかしい。

「銀さん、気をつけて下さい。今のプレシアは二十個のジュエルシードを使ってます。その力はとんでもない筈です」
「ちっ、ラスボスでいきなりこんな場違いな奴出すたぁなぁ」

 銀時がそう呟いた。その直後だった。
 目の前の化け物が突如遥か上空を眺め上げ、そして咆哮をあげたのだ。その雄叫びはまるで天を貫く大砲の様な大音量だった。
 思わず耳を塞いでしまう。まともに聞けば鼓膜を破られてしまいそうだった。
 耳を突き破るほどだった咆哮が途切れた。ようやく静かになったか。
 そう思い目の前を見た銀時に向かい飛んできたのは、化け物の太い尻尾であった。

「がっ!」

 その姿を認識した時には手遅れ
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