第32話 本当の強さとは諦めの悪い事
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ないから止めてくれない」
「え、マジ? 俺これで格好良く締めようと思ったんだけど、駄目かなぁ?」
「普通は駄目だよ……って、銀時に言っても無駄か」
溜息混じりにフェイトは諦める。もう今に始まった事じゃない。銀時は何時もそうだ。
大事な局面でもボケを挟む。それが一体何故かは理解出来ないが、もしかしたらそれこそが銀時の戦法なのかも知れないし、もしかしたら全く何も考えていないが故の行動なのかも知れない。
「この私を叱るですって? 笑わせてくれるわ。誰が私を叱ると言うの?」
「本来ならこいつが叱る役目なんだがなぁ、今回は俺もその叱る役目に加わらせて貰うわ」
「貴方と、フェイトが?」
未だに蔑んだ目で銀時達に睨みを利かせてくる。恐ろしく威圧感のある睨みだった。しかし、そんな睨みで怯む銀時ではない。
寧ろ銀時もまた睨み返しつつも話しを続けてきた。
「てめぇが何をしようが俺は関係ねぇ。てめぇが実の娘を生き返らせる為に全く同じ娘を作ろうが、世界征服をしようがそんなの俺の知ったこっちゃねぇんだ。だがなぁ、てめぇの娘を生き返らせる為に俺の娘を使う事は許さねぇ!」
凄まじい怒気が篭っていた。普段は疫病神とか言っている銀時だが、やはり心の奥底ではなのはを大切な娘と思っていたのだろう。
その大切な娘を、あろう事か利用しようとしたのだから、当然銀時の逆鱗に触れてしまったのは言うまでもない事だ。
「同じ親ならば分かる筈よ。愛する娘を無残に奪われた者の気持ちと言うのが。貴方も同じ親ならば私の胸の痛み、少しは分かると思うけれど。違うかしら?」
「てめぇがそれで泣き喚いているんだったら分かってやらないでもねぇさ。だがなぁ、その悲しみを手あたり次第に撒き散らしているてめぇに同情する気は、サラサラねぇ!」
片手に持っていた木刀で空を切り裂き、その切っ先を真っ直ぐプレシアに向ける。その切っ先には、間違いなく殺気に似た気迫が篭っていたのは言うまでもない。
「なのはは返して貰う。そして、てめぇの夢物語も此処までだ! いい加減現実に目を向けやがれ!」
「もう、全ては手遅れだわ。アリシアは既にこの世に存在しない者となってしまった。もうアリシアの肉片すら残っていない。私の今までの苦労は全て水の泡となって消えてしまったのよ」
先ほどとは打って変わり、プレシアの体から覇気が消え去っていくのが感じられた。
全てが水の泡になった。
一体どう言う事なのだろうか?
疑念に思う一同だが、それを問うつもりはなかった。敵の要らぬ同情を受ける事になるからだ。
人間とは世界は変わっても情の深い生き物なのは変わりない。例え凶悪な殺し屋を前にしても、その者の内情を知ってしまえば途端に手が鈍る危険性もある。
どんな人間でも完全に心
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