第31話 愛情も度が過ぎれば狂気
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目を開けば、全てがセピア色に風景が広がっていた。黄土色一色に彩られた町の風景が立ち並ぶ。
黄色掛かった青空の下に広がるのは何所か見覚えのある古臭そうな木造の建築物が立ち並んでいる。
見ればそれは建物や風景だけではない。その町を歩く人々もまた同じセピア色に染め上げられているのが分かる。
その町を歩く人々の姿は、誰も彼もが着物を身につけている上に、男の殆どが自分の髪で髷を結わえており、女の殆どは髪を束ねて結んでおり、その上に櫛を挿していたりしている。
「此処って……もしかして、江戸の町?」
そう、今なのはの目の前に映っているのは紛れもなく住み慣れた江戸の町であった。
しかし、江戸の町なのは分かるのだが、それにしては何所か違和感を感じる。何故風景が皆セピア色に染められているのだろうか?
視界がおかしくなったにしてはそんな風には感じられない。とすれば、この視界の変化は一体何なのだろうか?
「考えてても仕方ないか……家に帰ろうっと」
このまま道のど真ん中で立ちっぱなしでも何も解決しない。それより、折角江戸の町に帰って来たのだから真っ直ぐ家に帰るとしよう。
もしかしたら皆自分の帰りを待っているのかも知れない。
そう思うと、自然と足取りが速くなっていた。本人は気付いていないが、今の足取りは若干走っているのとほぼ同じ位の速度だ。
そんな足取りのまま、自分の家路へと向った。
住み慣れた町な為に帰り道もほぼ心得ている。この町は私の育った町だ。生まれたかは分からないがとにかく、赤ん坊の頃から育った町なのだ。
何所に何があるかは大体分かっている。
「あれ?」
ふと、歩いていたなのはの足取りが止まった。
原因は街中にある一軒の駄菓子屋であった。店内には子供が喜びそうな駄菓子やお粗末な玩具などが並べられており、そのどれもが子供のお小遣いでも買える程の値段で並べられているのだ。
そして、その店には多くの子供達が賑わっている。此処の子供達の狙いは様々だ。
駄菓子を買って食べたり、玩具を買って遊んだり、ドッキリマンチョコを買ってカードを集めたり、本当に様々であった。
その駄菓子屋こそ、なのはが足を止めた理由に他ならなかった。
「この駄菓子屋……確か、かなり前に畳んだ筈なのに……」
おかしい。そう思えたのだ。
確か、この駄菓子屋は数年前に営業を止めて店を畳んだ筈なのだ。
今では店の面影などなくなって、只の一軒家になってる筈であった。それが、またこうして営業を再開している。
が、それにしては変だ。まるで、昔のままの様にも見える。
一体何故だろうか?
違和感を感じながらも、それを気にしないように必死に努めながら、なのはは帰り道を急いだ。
途中で目に入る光景は
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