第31話 愛情も度が過ぎれば狂気
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していく。
その鋭い視線を感じたのか、銀時が町行く人たちの方を向いた。
【な、何だよお前等! 言っとくけどこいつは俺のガキじゃねぇぞ! たまたま其処に転がってただけだ! 断じて俺のガキじゃねぇ! 第一俺はまだ誰とも(チョメチョメ)してねぇんだ! 俺のガキが生まれる確立なんて天文学的にありえねぇんだよ!】
「だけど、今の光景を見たら誰でもお父さんが捨てたって誤解すると思うけど……」
銀時の必死の言い訳をなのはは目を細めてそう呟いた。その後も銀時の必死の言い訳が大声で連なられた。そんな事をしていると、丁度銀時の真後ろにある建物の扉が勢い良く開かれ、其処から突如黒い影が現れた。
【朝から大音量で怒鳴り散らしてんじゃねぇよこの腐れ天パーがぁぁぁぁ!】
【そげぶぅぅ!】
老婆の声と共に高速でとび蹴りを放ったのは紛れもなくお登勢だった。
額には青筋が浮かんで居る事からかなり不機嫌なのは見て取れる。
「あ、お登勢さん! お登勢さんだ!」
【よ、よぉ……ババァじゃねぇか。今日は良い天気だなぁ……布団でも干そうってのかぁ?】
【下らない挨拶は良いんだよ。それよりも銀時……あんた今月の支払いはどうしたんだい?】
どうやらお登勢にもなのはは見えないようだ。そして、今日は生憎の家賃支払日だったようだ。
しかし、先ほどのあれを見ても分かると思うが、今の銀時の財布はスッカラカンなのである。
なので、この後に銀時が何を言うのかはなのはでもはっきりと分かる。
【あぁ、今月の分ね。あれなら男の夢につぎ込んだからもう一銭も残ってn―――】
言い終わる前に銀時の顔面にはお登勢の鉄拳が叩き込まれる。その光景は痛そうと思える意外にはなかった。
なのはもまた両手で顔回りを覆って顔を歪めていた。
「あ〜あ、そんな事言っちゃうから」
【要するに、またギャンブルで擦ったってんだねぇ? あんたこれで何回目なんだい! もう半年も家賃払ってないだろうが! あんたあの時の言葉忘れたってんじゃないだろうねぇ?】
【るせぇ! ねぇもんはねぇんだよ! 一々金金騒ぐんじゃねぇ糞ババァ! 金の亡者かてめぇはよぉ!】
その後も銀時とお登勢の口論は続いた。金絡みな為かかなり意地汚く、そしてくだらなかったりする。
だが、そんな会話の中にも気になるフレーズがあった。
「あの時の言葉……あの時の言葉って何だろう?」
知らなかった。なのはが知らないところで、銀時とお登勢は繋がっているのだろう。
しかし、目の前ではそんな光景など微塵も感じさせてはくれないかの如く、醜い口論が続いていた。
そんな口論を仲裁するかの如く、再度赤ん坊が盛大に泣き出した。
すると、口論は中断され、お登勢は赤子を見下ろし、それを抱き上げ
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