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駄目親父としっかり娘の珍道中
第31話 愛情も度が過ぎれば狂気
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カンに……】
「ん?」

 ふと、愚痴っていた銀時の足が止まった。見上げてみると銀時はある一方を向いている。
 その方角と言えばお登勢の経営しているスナックの方だ。
 だが、銀時が見ているのは正確に言えば違う。そのすぐ隣、先ほど自分達が降りてきた階段のほぼ真下辺りの位置にある。
 其処には白い布で包まれた何かが置かれていた。
 此処からだと布しか見えない為中身を確認出来ない。

【何だ何だぁ? どっかのブルジョワが哀れな俺に対してお金を恵んでくれたとかですかぁ?】
「よくそんな発想出来るね」

 銀時のそんな発想力も才能の一つだと感心してしまったりする。
 だが、なのは自身その包みが何なのか知りたい。折角なので銀時と一緒にその包みを見下ろした。
 其処に居たのはまだ生まれたばかりと思われる赤ん坊が寝息を立てていたのだ。

「うわぁ、赤ちゃんだ! でも、何でこんな所に捨てられてるんだろう?」

 江戸ではこう言った捨て子は実は少なくは無い。若い男女が出既婚してしまい、そのまま産んだは良いが育てる事が出来ずにその場に放り捨てたり、遊女と客が一夜の過ちを犯してしまい生まれてしまったが、世間にばれるのを恐れてこっそりその場に置き去りにしたり等、理由は様々だがとにかく江戸の町で捨て子はそれほど珍しい物じゃないのだ。
 当然、銀時自身もそんな捨て子を見てはいたがすぐに踵を返して歩き去って行ってしまう。
 関わりたくないのだ。赤子を見れば誰もが可愛そうとは言うが、誰一人として拾っていこうとはしない。生活が苦しい現状で捨て子まで面倒を見る事が出来ないのだ。
 その結果、運よく拾ってもらう子も居れば、その場でのたれ死んでしまう子も居たりする。
 
「ねぇ、お父さん! この子拾ってあげないの?」
【見なかった事にしよう。触らぬ神になんとかって奴だ】
「そんな、そんなのって……」

 余りに無慈悲な言い様になのはが反論を言おうとした正にその瞬間であった。
 さっきまで静かに寝息を立てていた赤ん坊が突如大声で泣き喚きだしたのだ。
 その泣き声と言ったら天地を貫く程とも思われる程盛大な泣き声であり、なのはは勿論、銀時も、そして回りを歩く人たちも皆揃って耳を抑えていた。

【う、うるせぇぇぇ! なんつぅ大音量で泣くんだよこのガキはぁ!】
「こ、子供は泣くものだよお父さん! でも、確かにこの泣き声って凄く五月蝿い……」

 なのはは赤ん坊のすぐ近くなので被害がかなり大きい。しかも、全然泣き止む様子がないのだ。
 だが、銀時が赤ん坊の丁度真上に来ると泣き止む。しかし、一旦離れるとまた盛大に泣き出してしまうのだ。
 これでは銀時は赤ん坊から一歩も離れる事が出来なくなってしまう。
 そうなると、当然人々の目線は銀時に集中
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