第31話 愛情も度が過ぎれば狂気
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女など居ないと思っているかの様に。
「ちょ、ちょっとお父さん! 無視しないでよ!」
流石に苛立ちを感じたのか。銀時の背後に近づき、思い切り背中を叩こうと手を振るった。
だが、その手は銀時の背中を突き抜けて大きく空振りをしてしまう。
その拍子に自分までもが勢い余って転びそうになってしまったが、何とか堪える事が出来た。
そして、そのお陰で知る事が出来た。此処は自分の知ってる江戸じゃないと言う事に。
では、此処は何所なのだろうか?
【参った……本当に参ったぜ】
そんななのはを無視しながら、銀時は玄関の扉を開き外へと出て行ってしまった。
どうやらこれから外出するつもりなのだろう。
「あ、待ってお父さん!」
そんな銀時を追って、なのはも外へと繰り出す。なのはが出た直後に、銀時は扉を閉めて施錠する。そこら辺はしっかりしているようだ。
「ねぇ、此処って何所なの? お父さん」
【今回こそは出ると思ったんだがなぁ……見事に全額擦っちまったよ】
なのはの問いなど気にしないかの如く、銀時は自分の懐から安っぽい財布を取り出して中を開く。其処に見えるのは最早ゴミ位しかない。
「あぁ! またギャンブルしたんでしょ? だからあれほどやっちゃ駄目って言ったのに!」
【やべぇなぁ。これじゃ今日のおまんまがマジでやばいぞ。このままだと俺今日辺り餓死しちまうんじゃね? そうなっちゃうとマジでやばいなぁ……どれくらいやばいかと言うとマジでやばい】
そんな事をぼやきながら、銀時は財布を仕舞い、そのまま階段へと向った。
【階段なんてかったりぃなぁ。エレベーターかエスカレーターでもつけっかなぁ。あ、でも金ねぇや】
「当たり前でしょ。そんなお金ある訳ないじゃない」
銀時の愚痴に対しなのはが返す。帰って来る筈がないと分かっていながらも、黙っていると少し寂しいのでつい返答してしまったのだ。そんな感じで、銀時となのはは階段を降り切った。
【どっかで良い儲け話でも転がってねぇもんかねぇ〜。なんつうかこう、ガバァッて儲かるような上手い話とかさぁ〜。唸る位の泡銭とか一度で良いから欲しいもんだぜ】
「そんな事言って、私が仕事見つけてきたら文句言う癖に」
銀時のすぐ後ろを歩きながら、なのはは不貞腐れていた。何時もそうだ。
普段自分では仕事を余り探さない癖に自分が仕事を見つけてくると「面倒毎を持って来るな」と言って愚痴るのが毎度の事なのだ。
その癖金がないと先ほどの様なことを呟くのである。
【あ〜、だりぃ〜。ったく、春だってのに太陽さんさんじゃねぇか。これじゃまるで夏だろうが! 熱すぎるんだよ。たまには有休とれや太陽の馬鹿野郎が。大体太陽があんな頑張りやさんだから俺の財布が逆にスッカラ
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