第31話 愛情も度が過ぎれば狂気
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た瞬間、その顔は憤怒の色に染め上げられていた。
「よくも、よくも私のアリシアを……」
ピシリッ!
なのはを閉じ込めていたカプセルに亀裂が入る。その亀裂は瞬く間に全体へと広がって行き、粉々に砕けるのにそれ程時間は掛からなかった。
カプセルが割れる事により、晴れて自由の身となったなのはが目を開く。
見れば、自分の今の姿はお粗末な白い布地の服を着せられてるだけであった。
まぁ、裸一貫よりはマシだ。
朦朧とする意識をどうにか正気に戻したなのはが見たのは、憤怒の顔を浮かべるプレシアその人であった。
「プレシア……さん」
「よくも、よくも私からアリシアを奪ったわね。この小娘!」
怒りを露に、プレシアは杖をその場から取り出し横一文字に振るった。
咄嗟になのはは前方へと跳躍し、それを回避する。地面に転げながら態勢を立て直した時、背後ではプレシアが杖を片手に迫ってくるのが見えた。
「プレシアさん、話を聞いて下さい! もうこれ以上自分やフェイトちゃんを傷つけるのを止めて下さい!」
「黙りなさい小娘! 貴方が私のアリシアを奪った。こんなにまで愛していた私のたった一人の娘を、私の唯一の生き甲斐を……お前は無残にも奪い去ったのよ! 許さない、お前だけは、絶対に許さないわ!」
憤怒を通り越して、其処には憎悪さえも感じ取れた。その奥にあるのは、アリシアに対する深い愛情であった。
だが、その愛情は本人に対してはそうだろうが、他人に向けられた場合時としてそれは恐ろしい凶器にもなる。
そして、今正にそれがなのはにとっての凶器でもあった。
「何故? 何故お前が其処に居るの? 本来なら、アリシアが私の目の前に居る筈なのに……なんでお前が私の目の前に居るのよ!」
今度は杖に稲妻を収束させる。周囲から稲光が発せられ、それが杖に集まっていく。
ある程度集まった光をそのまま一直線になのは目掛けて放った。
「わわっ!」
咄嗟に横飛びでそれをかわすなのは。しかし、その直後には既に次の発射準備は終了していたのだ。
「あっ!」
「お前にはもう用はないわ。私の目の前から消え去りなさい!」
憎しみの篭った声で言い、そのまま何の迷いもなくその一撃を放った。
今のなのはにそれをかわす暇などない。光の速さで迫ってくるそれがなのはを貫くのにそうそう時間は掛からない。
目の前が激しくスパークした。
思わずなのはは目を瞑る。両手を交差して顔の前に置く。
こんな事をしても無駄だ。憎悪の光はそんな腕ごとなのはの体を焼き尽くして行き、黒こげの灰に変えてしまう。
不思議と痛みを感じなかった。
疑問に思ったなのはが目を開いてみる。
目の前にはうっすらとだが何かが張られているのが見えた
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