第一部 剣技
第3話 禁止
[1/3]
[8]前話 前書き [1]次 最後 [2]次話
「お兄ちゃん」
ふいに、後ろから声をかけられた。この声は…
「直葉。どうしたんだ?」
俺の妹、桐ヶ谷直葉。アインクラッド学園、中等部3年。俺はスグと呼んでいる。
前髪は眉の上で切り揃えていて、後ろ髪は肩につくくらい。キリッとした眉は屈強な戦士を感じさせるので、正直ものすごく羨ましい──本人がきいたら怒りそうだが。
「あのねお兄ちゃん、今高等部1年生は授業中だよね」
「そうだな」
「寝る授業じゃないよね」
「そうですね」
「なんでお兄ちゃんは屋上で寝そべっているのかな」
「寝たいからです」
──スグの俺を見る目は完全に冷めていた。
「アスナさんに怒られるよ。怒らせると怖いんでしょ?」
「どんなモンスターよりも可憐で恐ろしいです」
「じゃあ早く教室戻ろうね」
?実技?の成績が高い高等部生徒は、学園側から?依頼?を受けることがある。もちろん俺も受ける。
?依頼?というのは、一般の人々から学園を通して来るもので、具体的には?モンスター討伐?とか。王道狩りゲーでいう?クエスト?みたいなモノだ。
ただ、高校生にやらせるには多少危険なモノもあり──そもそもなんで大人がやらないんだ──その依頼を受ける代わりとして、授業時間関係なくいつでも休める特権が与えられている。──あまり休みすぎると単位落とすこともあるらしいが、まあそれは置いておいて。
だから(ってわけでもないが)俺は堂々とサボり……じゃなくて休憩をとっているのだ。
いやいや──と俺が直葉に首を振ったその時。
「キリト君」
いつのまにか、アスナが屋上に来ていた。
「ええ!? アスナさんまで、サボりですか!?」
「ち、違うわよ直葉ちゃん! わたしは、誰かさんの休憩が長すぎるから呼びにきただけよ……!!」
彼女がこうして授業中に校内をウロチョロできるのも、依頼を受けているからだ。アスナは俺を軽く睨み、言った。
「君、いつまで休んでるのよ」
「いや、だってさ……昨日、モンスター討伐の依頼、一緒に受けただろ? もう疲れて疲れて……」
「?リザードマンロード10匹討伐?だったら、君がほぼ全員4撃くらいで終わらせちゃったじゃない。そんなに疲れるわけないでしょう」
「いやいやいやいや、連続っていうのは、やっぱ体に来るモンがあるぞ。そういうアスナこそ、なに休んでるんだよ。ほとんど俺がやったのに」
「わたしは休んでなんかないわよ。ただ君を連れ戻しに来ただけだもの」
「先生が連れ戻しに行けって言ったわけじゃないだろ? つまり、アスナだって特権行使してるんじゃないか」
「うっ……そ、それは……」
アスナが言葉に詰まったところで、スグが言う。
「……ねえ、さっきから依頼とかモンスター討伐とか
[8]前話 前書き [1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ