第一話 新しい朝が来た
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てたけど、途中で気絶とかした?」
「いや、していない」
高いところから落ちると人間は気絶するようだが、あいにく俺は命綱が顔面に当たり、鼻血を出しながら痛みをこらえて落ちていったため気絶が出来なかった。因みにしたはコンクリートの道路だ。きっと死体は悲惨だったに違いない。
「ならなおさらおかしいよ。だいたいここに来る奴らはさっきの高校生みたいに必死になってここにきたりとか、あるいは軽く呆然としながらこの部屋とあの黒い球体――ガンツを見つめるってのに。あんたはガンツに見向きもせず落ち着いていて部屋を見たり俺らの顔を見たりした。なぁ、これっておかしくないか?」
「……」
そういえばそうだ。あの球体、ガンツをさぞ当然かのように流した。在るのは当然かのように。存在を知っているかのように。思い出せばあの死の光景だってたった今のを思い出すのではなくて古い記憶を思い返すようだった。
「当たり?」
「……すごい名推理だが、本当に俺は何も知らん。きっと偶然だろう」
さらに目線がきつくなる。だが何かに気づいたかのようにふっと目線が外れる。どうやら興味を無くしたようだ。
「ちっ、なんだそういう事か。馬鹿見てぇ」
追求する前にさっと元いた場所に戻っていった。
結局何がしたいんだかわからないが、多少なりとも情報がわかった。あいつは信用できない。だがあの黒い球体はガンツというのは本当だろう、なんとなくだが。そしてなによりあいつは、何か俺が知らない俺のことを知っているようだ。
興味をなくしたあいつはもう俺を見ては来ない。なら今度は俺があいつを監視する番だ。小柄な体格と小さい背。黒い髪と目で服はなんてこともない珍しくない服。
「……ん? なんだあれ」
あいつが首をかいた時、インナーにしては何か変な物を着ていた。タンクトップとかではなく、ぴっちりとして黒光りする素材。ゴム製、だろうか。
「ねぇ、君の番だよ」
「え?」
不思議とあいつ以外の目線が俺に集まっていた。わからず、なぜか立っているサラリーマン風の男性が自己紹介と早口で教えてくれた。
「俺の名前は朝比奈竜夜。よろしく」
「あと職業と死に方も」
「ああ、えっと職業はフリーターで死に方はさっきと同じで窓拭きからの転落死」
俺が座ると次の男子高校生に視線が移った。耳を傾けながらなおも監視する。
「あ……後やってない人……」
どうやら終わったらしい。男子高校生は小さい方が黒野計。大きいほうが加藤勝。初老の人は鈴木五郎で後ろで髪をくくっているやつはパスした。そしてあいつは西丈一郎。中二で死因は転落
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