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とある碧空の暴風族(ストームライダー)
幕間
Trick@02_賭けろよ、あんたの誇りを
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んだよ」

美雪の顔を見て信乃は言った。
無表情、だけど泣きそうなのを我慢している。そんな顔を美雪は浮かべてた。

「信乃、これからも、また怪我することあるよね?」

片づけの手は止めたが信乃の顔を見ずに聞いてきた。

「そうだな。学園都市に来たのは戦うため。未熟な俺だと怪我は当たり前だな」

「・・・・・・」

「まさか怪我の治療だけで何も手伝いができない事が歯痒いとか考えている?」

目を下に向け、そして小さくうなずいた。

「お前バカだろ?」

「な!? 人が本気で悩んでるのに何言うの!!」

「やっぱバカだ。治療だけしかできない? 治療してくれるだけで大助かりだよ。
 本当なら全治1週間の怪我だろうけど、傷に塗るお前の薬のおかげで
 数日で治る。それのどこが治療“だけ”なんだよ」

信乃の言葉を聞きながら、美雪の頬は赤くなっていった。

そして聞き終わると顔をうつむいて聞きとるのがやっとの小さい声で言った。

「・・・・あ、ありがとう。励ましてくれて」

「やっぱバカだ。俺のセリフ先に取るなよ。

   ありがとう、美雪。本当に感謝している」

美雪の頭を撫でた。高校生を相手にこの行為は子供っぽくて失礼だが思わず手が伸びた。
サラサラの、細くて柔らかい髪の感触は相変わらずだった。

美雪が落ち込んだ時、泣いた時にいつもやっていた癖が思わず出た。

少しして、ようやく自分が何をしているかに気付き、すぐに手を引っ込める。

「さて、パンツ一枚の男が女の子と2人きりってのは危ない状況だから服着てくる」

顔を赤く、表情を緩めた美雪から逃げるようにして服を置いてある寝室に行った。




信乃は男性だから服を着るのに時間がかからない。
それに寝るとき格好のTシャツと短パン、着替え終わるのに2分も掛からなかった。

だが、その短い時間の間に美雪は寝入ってしまった。

ソファーで寝るために戻ると、美雪が寝息を立てていた。

「お〜い。ダメだ、完全に熟睡している」

軽く肩をゆすり、耳元で声をかけても表情に全く変化はない。
信乃を待つのに無理をしたことと、治療後の言葉で安堵して一気に眠気に襲われたのだ。

「しかたない。道具片づけた後に運ぶか」

ソファーに、美雪の隣に座ってテーブル上の治療道具を救急セットに収め始めた。

すると、左肩に重みがかかった。

信乃が座ったことでソファーが沈み、その方向に美雪の体がずれた。
そして信乃に倒れ込んだのだ。

思わずドキッとした。家にいるときなので、いつもの不似合いなメガネはない。
可愛さを誤魔化すものが何もない美少女の顔が目の前にきている。

しばらくして信乃は何事もなかったか
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