幕間
Trick@02_賭けろよ、あんたの誇りを
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、何事もなかったかのように信乃は言った。
だが体には無数の傷がある。表情が笑っていなければ満身創痍にしか見えない。
未だに座り込んでいる神裂から小さな声が漏れた。
「なぜです・・・なぜなんですか?
確かにあなたは強い。覚悟もある。
ですがそれは私も同じ。いえ、強さでいえば私の方が確実に上のはずです。
それなのに、なぜ・・・」
「簡単な事、あなたは冷静ではない。本来の実力を出し切れていない。
ただそれだけです。私の挑発にも簡単に乗り、戯言にも簡単に騙される。
その精神状態なら私でも勝てますよ」
戦闘前の挑発、戦闘中の駆け引き、最後の技への対応。その全てが万全の状態の
神裂の姿の欠片さえもない。
「勝負は私の勝ちです。事情を教えてもらいますよね?」
一瞬、唇をかんだ神裂だが、ゆっくりと、静かに話し始めた。
禁書目録と呼ばれる少女。
彼女は頭の中には10万3000冊の魔道書が記憶されている完全記憶能力者。
学園都市に迷い込んだ彼女は、偶然にも上条当麻に助けられた。
そして彼女を保護しに来た神裂ともう一人の魔術師。
インデックスから見れば自分の記憶を悪用する敵に見え、そして上条は彼女を
救うために神裂たちと対峙した。
上条と神裂がここにいたのも、彼女が上条を説得(という名の暴力)をしていたから。
神裂が必死になってまでインデックスを連れ戻そうとする理由
神裂が信乃に事情を話せなかった理由
それは
今からインデックスの記憶を消さなければならないからだった。
インデックスの脳の85%が10万3000冊の魔道書によって埋められている。
そして完全記憶能力者は忘れることが“できない”
常人よりも覚えてしまう量が多いのにすでに85%が使われている。
残りの15%だけで生き続ければ、いつかは容量がパンクして彼女は死ぬ。
15%だけ覚えられるのは1年だけ。その期日が2日後に迫っていた。
本来なら同僚であり親友であるインデックスと神裂だが、インデックスが逃げているのは
1年前からの記憶が無くなっているからだ。インデックスにとって神裂は
自分の魔道書を狙う魔術師にしか見えない。
記憶消去は今回が初めてではない。以前から神裂は記憶を消してきた。
だからインデックスは神裂の事を知らなかったのだ。
大切な友人を助けるためには自分との思い出を自分の手で消さなければならない。
ひどく醜い行為を、信乃に知られたくなかった。
ひどく醜い行為だと解っていても、インデックスのために消すしかない。
そんな自分が神裂は嫌だった。
心の毒を吐き終わり、神裂は黙り込んだ。
上条も、
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