ナイアーラトテップとの戦い T
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持つのは、精神汚染耐性だけであり、この、コンクリートや金属が溶け、人体が発火するほどの高熱の中では活動出来ない。幸いにも、この高熱はクトゥグアの権能というわけではなく、ただ彼女が存在するから必然的に高くなっただけだ。神秘の力を全く感じない、ただの熱ならば、エリカの魔術でも対応出来る。・・・ただ、数千度にもなろうかという温度を防ぐのは、彼女の力量をもってしても数十分が限界なのだが・・・。それにしたって、有るのと無いのとでは、天と地程も違う。その為に、エリカが付いてこざるを得なかった。
この作戦にも、大きな穴があった。それは、エリカが彼女たちの精神汚染に対抗出来ないということである。
そもそも、クトゥルフ神話を読んだことのある方や、クトゥルフのTRPGをやったことのある方なら分かるだろうが、クトゥルフにおいて、『視る』という行為は、非常に大きなファクターなのだ。
クトゥルフに出演している邪神は、その全てが、人類では考えることも出来ないほどの異形であり、異常である。作中では、人類の正気度をSAN値という言葉で表しているが、彼らを視るということは、そのSAN値を大幅にすり減らす行為である。勿論、そのSAN値がゼロ以下になってしまうと、その人物は発狂してしまう。
クトゥルフの神は、その全てが、『SAN値を減らす』権能を有しているのだ。今この場所には、まつろわぬナイアーラトテップ、そして、すこし離れた場所にはまつろわぬクトゥグアが存在している。そして、この権能は、島全体を覆う病原菌のような呪詛と、彼女たちの姿を視るという二つの方法で、敵対者のSAN値を削っていく権能なのだ。
その二柱から発せられる、発狂の権能、そして、その二柱を直接目撃してしまったエリカの精神は、既に限界に近かった。厳重に掛けた精神防壁を容易く抜いて、エリカをここまで追い詰めるとは、やはり神々は理不尽な存在である。今彼女は、ただ一人、孤独に自分の精神との戦いを繰り広げていた。・・・彼女が発狂すれば、同時に護堂の死亡も確定してしまうという恐怖によって、彼女は精神の均衡を保とうとしていたのだ。
「今ならまだ見逃してあげます。・・・平和な日常に、帰ってください!」
ナイアーラトテップは叫んだ。自分へ一直線に走ってくる護堂に向かって。『殺したくない』という、彼女の心情を吐露した。
だが・・・
「無理だな!今のお前を、放っておくなんて不可能だ!!」
護堂は、その言葉を真っ向から否定した。
「お前を見捨てて逃げ帰って、それで俺の平穏が戻ってくるとでも思っているのかよ!?助けられたかもしれない女の子から逃げ出して、俺がこの先、胸を張って生きていけるとでも思ってるのかよ!?・・・俺を、見くびるんじゃねぇ!!!」
その
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