追憶
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「その部分を咎めると言うわけではない……。わしが言いたいのは限度があるということじゃ」
「そんなことはしらない。あいつらだってアレだけ殺意を持って私に挑んできたんだからそれだけのことをされることはわかってるでしょ?」
冷徹に告げるその声は部屋の温度を一度下げたような感覚を生んだ。
「ふむ……まぁよい今日は解放してやろう。行ってよいぞ」
眉間を押さえながら考え込む鉄心を尻目に千李は立ち上がり部屋を後にしようとする。だがそこで千李の視界が暗転した。
かすれてゆく意識の中で千李は後ろを一瞥する。
後ろにいたのは悲しげな顔をした鉄心の姿だった。
「すまんな……こうするしかないのじゃ」
「くそ……ジジイ……」
そこで千李の意識は完全に途切れた。
千李が意識を失ったあと鉄心とルーは千李と共に手配した車に乗り込み、湘南の極楽院を目指していた。千李はというと鉄心の気を纏わせた手刀により、しばらくは起きることができないらしい。
「総代……。本当にこれでよろしいのでしょうカ?」
「わしとてこれが一番とは思っとらん。しかしの……おそらくあのままでは千李は確実に人を殺める気がしてならんのじゃ。その前になんとしても更生させねばならん。……幸いにも千李はまだ幼い。まだ間に合うじゃろう」
淡々と告げるもののその声には若干の心配も混じっていた。生ける伝説とまで言われている鉄心でも孫のことは心配と言うことなのだろう。
ルー自身も先ほどから眉間にしわを寄せ俯いたままだ。
そして車は湘南の極楽院の前に到着した。
門が開けられると極楽院三大が姿を現す。
「おやまぁずいぶんと早いお着きだねぇ鉄心ちゃん」
「うむ。さすがに緊急で悪かったのう三大」
「なにいいさ。とすると抱えているその子が千李ちゃんだね?」
三大の視線の先には鉄心に抱えられた千李がいる。千李は未だに意識を失ったままなのか、手をだらんと下げている。
その顔は穏やかでとても昼、あのような惨状を起こした少女には見えないものの三大は確かに千李の気を感じとっていた。
「なるほどねぇ。確かにすさまじい気だ。成長すれば全盛期の鉄心ちゃんを軽く凌ぐ強さを秘めている」
あごに指を当て千李を吟味するように三大は眺める。
「三大。早くせんと千李が目を覚ましてしまうぞい」
「ああそうだったね。さすがに目を覚まされると厄介だ、どれ本堂のほうへ運んどくれもう準備はできているよ」
三大を先頭に鉄心とルーは歩き出す。
本堂に着くとそこには大きな法陣が刻まれていた。そして鉄心が千李を法陣の中心に千李を置くと三大は法陣に気を集中させる。
すると法陣全体が光
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