追憶
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李は男達の顔や手足などを軽く一瞥する。
確かに彼らの体のいたるところにまるで刀で切られたような傷がついている。一番目立つところに傷があるのは先ほど千李に怒声をあげた中心の男性だった。男の顔には右上のでこのあたりから斜めに傷が刻まれている。
「あー……そういうことか。お前らあれだな、私に挑戦してきたけど見事に返り討ちにあったやつらの集まりってわけだ」
嘲笑うかのように千李が告げると男達は怒りを隠すことをせず口々に罵声を浴びせる。中には「殺せ」や「死ね」などのひどいものも多いがそれを聞いた千李は思わず吹き出してしまった。
「な、何がおかしいのだ!?」
突然吹き出した千李に男達は少したじろぐ。
すると千李はひとしきり笑い終え男達を見据える。
「おかしいも何も、お前らただの一度だって私にふれることさえできてなかったのにそいつらが集まれば何とかできるみたいな空気かもし出しちゃってんのがおかしいってんだよ」
言い終えてもまだ嘲笑する千李に、先ほどまで怒声を浴びせていた男とは別の男がキレたのか千李に突っ込んできた。
そして千李に拳が当たるか否かの瞬間彼は大きく後ろに吹き飛ばされた。
「え?」
誰からともなく驚きの声が上げられる。しかしそこからは一瞬だった。
1人、また1人と次々に倒れ、吹き飛ばされ、なぎ倒され、蹂躙されていく。
そして最後の1人千李に顔に大きな傷のある男。すなわち先ほどまで千李に怒声を上げていた男だけが残りただ呆然と立っていた。しかし彼は見た千李の背後にある大きな影を。
「鬼だ……奴は鬼だ……」
そう呟くと同時だった。
彼は上からの衝撃により地面に仰向けに倒れた。
「やっぱりつまらん」
何事もなかったような顔をする千李だが彼女の体には、なぎ倒した男達の返り血がいたるところに飛び散っていた。一番多く血がついているのは彼女の腕だった。
「姉さん!!」
そこへあわてた様子で百代がやってきた。おそらく先ほどの千李の気を感じ取り足を速めやってきたのだろう。
「百代どうした?」
「どうしたじゃないぞ。いきなり姉さんの力が強くなったと思ったらこんなことがおきてるんだから」
惨状を見ながら百代は千李に聞くが千李は軽めに説明しかわらを後にした。
そして夕方千李は鉄心の元へ呼び出しをくらっていた。
「千李よ……お前に聞きたいことがあるのじゃが」
「川原のアレはお前か、か?……ジジイの考えているとおりあれは私がやったことだ。だけどあっちの方がいっぱいいたし、それにおとななんだからどう考えてもあっちの方がわるいと私はおもうが?」
微笑を浮かべながら言う千李に対し鉄心はため息をつく。
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