追憶
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李から離れ本堂の中に消えていった。それに唖然とする千李だがしばらくすると舌打ちしながら姿を消した。
千李が姿を消したすぐ後に百代がやってきた。
「あれ?姉さんは?さっきまでいたよな釈迦堂さん」
「ああ。いたけどな今消えちまったよ」
「ちぇー。相手してもらおーと思ったのになー」
心底残念そうな百代は少しむくれる。するとむくれ顔の百代の肩に釈迦堂が手を置き告げる。
「まぁアイツの行くところなんて毎回同じだろうぜ。百代お前言ってこいよ。もしかしたらやりあえるかもしれねーぜ?」
「そうか川原だな!じゃあ行って来る!ありがとうな釈迦堂さん」
駆けて行く百代を見送る釈迦堂に後ろから声をかける者がいた。
「釈迦堂!また百代を止めなかったネ!?」
声をかけてきたのはルーだった。切迫した様子で釈迦堂に迫るルーだったが釈迦堂はそれを気にした様子もなく軽く流した。
「仕方ねーだろ?百代が千李と戦いたかったって言うんだからよ。それにあいつらは姉妹だぜ?間違いなんかおきやしねーよ」
「それはそうかもしれないけどネ……。まぁ千李も百代には甘いから大丈夫だとは思うケド」
思うことがあるのか少し顔をしかめながら様子でルーは百代が駆けて行った方角を見つめた。
千李は川原に1人寝転がっていた。その顔は不満に染まっている。おそらく先ほどの戦いのことだろう。
「くそったれ……弱いやつらばっかでつまらないったらありゃしねー。もっとこう手ごたえのあるやつはいねーのかっての」
手を閉じたり開いたりしながら千李はつぶやくものの当たり前のようにそれに答えるものは誰一人存在しない。季節は夏なのに先ほどから千李の周りではセミすらも鳴かない。それだけ千李の力が強すぎるのだろう。
だがふと千李の顔が歪んだ。
そして千李はある一点に目を向ける。
「なんのようだ……大人数でぞろぞろと」
視線の先にいたのは男性の10人ほどのグループだった。しかし不良と言う感じはしないものの彼らからは確かな怒りの感情が感じられた。
すると真ん中にいた1人が千李に怒声を浴びせた。
「川神千李!私達を覚えているかぁ!!!」
顔を怒りにゆがめながら男は怒鳴り声を上げ千李を威嚇するが、彼女はそれをものともせずに受け流す。
「誰お前ら?」
立ち上がり背中についたごみを落としながら千李は再度男達に向き直るものの、その目は相手を見下した目だった。
「我らを忘れているだと!?貴様に入れられたこの傷の恨みは私は忘れたことはないというのに……貴様はあああああ!!!」
男は激昂するものの千李は相変わらず軽く身構えている。いや、身構えてさえいないかもしれない。そして千
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