第39話 What can I do for you?(1)
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う人数分の飲み物などを慌ただしく用意するノエルとファリン。それに気を遣われたのだろう、すでに目の前に湯気の立っているカップが置かれているなのはと、フェレットのユーノ。
「やっぱり、純吾君とリリーさんは来ていない、と」
いつもの自分の席に座りながら、忍はそう言った。帰って来た時の様子を見たら、それは当然のことだった。目立った傷は治療済みなのだろうが、服は焦げ、流れた血がそのままな純吾と、それを背負う、常とは違った脆く危うい雰囲気のリリー。そんな様子の彼らが、こんな短い時間で回復する訳が無いし、むしろ、こっちから今日は休めと言いたい。
「はい。一応、様子見としてシャムスさんに部屋まで行ってもらいはしたのですが」
忍が座ったのを見計らって、ノエルが紅茶の入ったカップを置いた。ナイトキャップティーには少し早いですが、そう言うノエルに苦笑を返して忍は優雅に差し出されたカップを持ちあげ、口をつける。
「んにゃぁぁ〜……。ひ、酷い目にあったにゃあ」
丁度その時、トッタトッタと軽快さを欠く足音と共に、入口からシャムスの声が聞こえてきた。
酷い目という言葉に疑問を覚えつつも、忍は視線をやり
「うへっほ! げほ、げっほ!!」
…下品だが、紅茶を口から噴射してしまった。
気管に入って若干涙目になりながら、ノエルが拭くのに任せて忍は訳を尋ねる。何故なら、シャムスの全身の毛という毛が、綺麗なカーブを描く紫の前髪すらも逆立ち、歩く毛だるまといった様相だったからだ。すずかは慌てて口元を隠し、ファリン隠しもせずに爆笑。ついさっきまで沈んでいたなのはとユーノですら、唖然といった様子でシャムスを凝視していた。
「ファリンには明日、猫という猫に引っ掻かれる呪いをかけてやるにゃ」
「えぇっ! なんで私だけっ!?」
恨めしげにシャムスはそう言うと、トンっと机の上に飛び乗った。今ここにいない二人の様子を伝えるためだ。
「ジュンゴにゃんとリリーだけど、部屋に閉じこもって出てきそうにないにゃ。入れろって言っても『いやっ!』とか『あっちいって!』とか入室拒否。あげく、それでも入ろうとしてドアノブに触れたらまぁ、電撃流されてご覧の通りにゃ。
正直、子猫抱えた母猫だって、あれだけ周囲に警戒はしないにゃ」
どうやら説明のためだけにワザとそうしていたらしい。話し終えたシャムスは一言「ディアラマ」と唱える。毛玉の中から一匹の美しい橙色の猫が現れ、身を震わせた。
「中に入るのでしたら、シャムスさんの力でなかったでしょうか? 確か、相手と自分の位置を入れ替える事ができるとか」
ようやく噴出された紅茶の後始末が終わったノエルが、顔をあげて質問をする。露骨に表情を変え、シャムスは答えた。
「…初めは勿論、
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