第39話 What can I do for you?(1)
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最初にその場を引いたのは、フェイト達からだった。
倒れる純吾、その上に覆いかぶさるようにして慟哭するリリーに視線を送っていた彼女達はふいにそれを逸らし、立ち去ろうと歩き始めた。
「あ、あの…」
「私達は、何もする事がない」
なのはが遠くのフェイト達に手を伸ばすが、フェイトはその声に立ち止まり、振り返らないままそう答える。
「元々、私達はジュエルシードという唯一点で関わりあっていた他人だった。なら、彼らの事はあなたがするものだ」
その言葉に、なのははレイジングハートを握りしめ、ユーノも怒りで地を踏みしめる足に自然、力が篭もった。
一体、誰のせいでこんな事になったのか。誰がかばったから、今以上の傷を負わずに済んだというのか。この時ばかりは彼女の事を知りたいだとか、どうしてジュエルシードを集めるかなど関係なく、沸騰した怒りをぶちまけようと口を開く。
「…けど」
まさに激した感情を声に出そうとした瞬間、フェイトが振り返った。視線は蹲るリリーと、依然気絶したままの純吾へ向けられていた。
振り向きざまのフェイト達の瞳が揺れている事になのは達は気づく。困惑と思慮、そして感謝とが混在するそれを見せつけられ、急速に怒りが冷めるのを感じた。
「その人…。ジュンゴが目覚めたら、ありがとう、と伝えてほしい。あなたのお陰で、この街に迷惑をかけずにすんだ、と」
そう言うと、今度は歩みを止めることなくフェイトは去っていく。
「あたしからも、次は容赦しないって伝えといとくれ。
……それと、フェイトのこと、身を挺して守ってくれた事、感謝するよ」
それまで黙っていた狼状態のアルフもそう言い残すと、身を翻してフェイトのもとへ駆け去る。そのままフェイト達主従は光の尾を引いて、夜の闇に消えていった。
「…ええ、なのはちゃんもユーノ君も、すっかり疲れ切ってるみたいで。……はい、今日はもう遅いですし、こちらに泊ってもらうという事で。……大丈夫ですよ、むしろ、準備はもうノエル達にしてもらってますので。
…分かりました。それでは明日の7時ごろ、なのはちゃんを迎えに来てもらうという事でお願いします。はい、それではおやすみなさい、桃子さん」
高町家と連絡を取り終えた忍が、がちゃりと受話器を置く。それから大きくため息をついてから、振り返って問いかけた。
「これでいいかしら、なのはちゃん? ユーノ君?」
「えぇ」
「…はい、ありがとうございます。忍さん」
後ろにいたのは悄然としたなのはとユーノだった。魔導師としての姿ではなく、普段着に戻っているなのは達の顔は浮かないが、顔をしかめるような笑みをどうにか作り答えた。それに忍は肩をすくめ、なんでもな
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