第二幕その七
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「神の裁決を伝える方の前に行き」
「そして罪を告白するのだ」
「若しも」
ここで貴人達の中の一人が言った。
「恩寵が下らないその時は帰ることはない」
「この度は天使の制止があり怒りを避けられたが」
先程の怒りのことだ。
「汝がまだ罪と恥を持っていれば」
「今度こそ剣が卿を貫く」
「タンホイザー」
エリザベートもまたタンホイザーに対して声をかける。彼を心より心配するその声で。
「愛と恵みの神が貴方を導いて下さるように」
「そうして恩恵を」
「はい、その深く赦され難い罪も消え去ることになりますように」
「我が救いは消え失せ天の恵みもまた去った」
しかしであった。
「だが私は悔悟の心で巡礼しよう」
「貴方が夜の闇の中に消え去らないように私は祈ります」
「我が苦しみの天使よ」
タンホイザーが今見るのは天使であった。己に苦しみを与える天使を。
「私は御前を厚かましくも嘲笑ったが今御前を私を救ってくれた」
「貴方にこの命から祈ります」
エリザベートはただひたすらタンホイザーの為に祈っていた。
「我が祈りと命をお受け下さい。天の神よ」
「魂の救済は消え去った。だが私はそれでもこの恐ろしい罪を懺悔し慈悲を」
この時外から聴こえてきた。清らかな声が。
「あれは」
「あの声だ」
ヘルマンが一同に告げる。タンホイザーに対しても。
「恩寵の祭りの為に慎みて我が罪をあがなわん」
「信仰に忠誠を守る者は祝福されてあれ」
「彼は懺悔と悔悟により救われん」
「ローマへ」
タンホイザーは言った。
「ローマへ。償いの都へ」
今それを誓うのだった。タンホイザーはローマへ向かうことになった。今己が犯した罪を償う為に。白く清らかな天使に導かれて。
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